内容説明
正しく怖がるために、まずは地震を知ろう!地震とはどのようなメカニズムで起きるのか。地震の予測はどのように出されるのか。地震に遭ったらどのように行動すればいいのか。普段からどのように備えたらいいのか…。
目次
1 地震を知って、震災に備える(聞き手・亜紀書房編集部)(日本ではなぜ地震が頻繁に起こるのか;日本列島と地震の関係;能登半島の地震とはどんな地震なのか;なぜ、被害が大きかったのか;地震の確率について考える;つねに準備をしておく)
2 首都直下地震に備え、関東大震災に学ぶ(聞き手・森まゆみ)(地震予知はできるか;地震は続けて起こりやすい;国の防災体制;関東大震災といま;古き良き町とだけはいっていられない;東京都の防災計画;オフィスにとどまれ、無駄に動くな;避難所に行くのは家が壊れて住めない人だけ;避難場所と避難所は違う;いまそれぞれがすべきことは)
著者等紹介
平田直[ヒラタナオシ]
1954年東京生まれ。東京大学理学部卒業。東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。理学博士(東京大学大学院)。東京大学地震研究所教授、同所長、国立研究開発法人防災科学技術研究所参与・首都圏レジリエンス研究センター長を経て、東京大学名誉教授。専門は地震学・地震防災。首都直下地震や南海トラフ地震などの巨大地震の解明とともに、被災した社会機能の回復についての研究を行う一方で、防災教育や理科教育にも取り組む。政府の地震調査研究推進本部・地震調査委員会委員長、気象庁・南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会会長他政府の委員等を務める。防災功労者内閣総理大臣表彰受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
2024年8月8日、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した気象庁・南海トラフ地震評価検討会会長の平田直さん[東京大学名誉教授・元東京大学地震研究所所長]の最新刊!
?日本列島に暮らすかぎり、いつどこで地震に遭うかわからない?
だから、防災の基本姿勢は「過去の地震をよく知って、つねに準備をしておく」こと。
正しく地震を怖がるために必要な情報をハンディにまとめた防災本!
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【本書より】
★たとえば関東なら、体には感じませんが、少なくとも1時間に数回ぐらいは地震が起きています。風が吹くのと同じです。いつもはそよ風が吹いていますが、台風が来ると風速何十メートルというような強い風が吹き被害が出る。同じように大地はつねに揺れていますが、非常に強い揺れはたまにしか来ない……これが日本に住んでいる人々が基本的に理解するべきことなんです。
★多くの人がいつどこで地震が起きるのかという地震予知を好みますが、それは多くの人がしばらくは自分のところでは起きないというふうに読み替えるからです。そもそも事前に地震を予知することはできないです。仮に関東で5年後に巨大地震が起きる可能性が何%あるという地震予測が出ると、関西の人は関西では起きないと安心してしまうんです。
5年後に地震が発生するという地震の予測をしたときに、メディアはそれまでに準備をしましょうという報道をするでしょうか。どちらかというと、あと何年間かは地震が起きないというニュアンスをつけてしまう。これではやはりいけないんですね。
★地震予知はできませんが、南海トラフで巨大地震が起きた場合は、起きた後で、注意情報や警戒情報が出ます。「ふだんに比べて地震の発生する確率が高くなりました」という巨大地震警戒は出るんです。でもこれが出されるときは、すでにM8を超える大きな地震が南海トラフのどこかで起きたときです。後なのです。これは、その近隣、それを含んだ領域でまた起きますよという警報なんです。大きな地震は一度起きるとまた起きると思ったほうがいいというのが、ふつうの防災上の注意点です。