機械の研究 2020年1月1日発売 第72巻 第1号
雑誌紹介
- 本誌「機械の研究」は、1949年(昭和24年)、それまでの
- 機械工学の概念を脱却して、工学・工業の一環としての機
- 械工学に関する新しい研究と技術の進歩を提供する事をそ
- の主眼に創刊した月刊誌です。工学全般・工業に関連した
- 研究分野において、最新かつ重要な学理および興味深い研
- 究成果を平易に解説しています。
特集「異種接合材の強度評価のためのISSFについて」
- 省エネルギーや省コストは時代によらず、製造界の基本的な要求である。
特に自動車や航空機などの部品集積型の製造物にとって軽量化はエネルギー消費と
コストパフォーマンスを実現するキーワードでもあり、機械技術への期待には大きなものがある。
このような中において異種材料接合技術が最近特に注目されている。
一般的に異種接合材には接合の方法によって、接着・圧着・融着・溶接など
種々の特徴ある製品形態があるが、それらの特徴として界面が存在して、界面や
その近傍に存在する欠陥が強度に与える影響が問題とされ、この問題の解決が
異種接合材の信頼性を左右し材料選定の判断材料となることである。
そこで機械技術者としては、適切な機械部品あるいは構造部品に
適切な異種接合材を選定するだけでなく、強度評価に関する基礎的な手法の理解が必須となる。
異種材料接合材の強度問題については従来から多くの研究がなされているものの、
材料や接合の仕方には多くの形態があり、それらの中に存在する欠陥 (き裂や異物) の
種類や状態もさまざまであることから、統一的な強度評価方法が確立されているとはいえない。
そこで、今回本誌においては異種接合材として機械・構造部品に汎用的に使用される
接着接合材を取上げ、接着接合面の特異応力場の強さ (Intensity of Singular Stress Field:ISSF) に
注目することで種々の材料の組合せと欠陥などの条件などに関して統一的な強度を調べる方法について紹介する。
(有明工業高等専門学校 創造工学科)
堀田 源治
版型
- B5
特集「異種接合材の強度評価のためのISSFについて」
- はじめに/堀田源治
- 1.異種接合体の応力集中と接合界面の応力分布
2.異種接合(AB型)界面端部の特異応力場の強さISSF
3.異種接合板(ABA型)および異種接合円柱(ABA型)の接着層厚さ全範囲における特異応力場の強さISSF
4.異種接合板(ABA型)および異種接合柱(ABA型)の接着強度の簡便な評価法
5.重ね合わせ継手(ABA型)における特異応力場ISSF
/野田尚昭・佐野義一・高瀬康・高木怜 - 6.異種接合材(ABA型)の仮想き裂による強度評価法(ABA型)
7.熱応力が生じた異種接合材(ABA型)の仮想き裂による強度評価法
8.異種接合材(ABC型)の特異応力場の強さISSFと仮想き裂による強度評価法
/小田和広・野田尚昭
展望・総説・解説
連載講座
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- 詳しく学ぶ ねじ締結の基礎(10)本質安全と安全率/酒井智次
- サウンドデザイン論(7)―音をデザインし製品価値を高めるには―/石光俊介
コラム:一杯のコーヒーから(156)
- ICBBD, ICEPS, ICESI, TSHF Joint International Conference 2019(その2)/福田収一
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