オンサーガーの不可逆過程の熱力学 (オンサーガー・著、井口和基・訳)A5/349頁
ラルス・オンサーガー(Lars Onsager, 1903-1976)博士は偉大な理論物理・化学者であった。彼の研究分野は多岐にわたる。化学や生物学から液体理論や流体力学、物性物理学や固体物理学、そして統計力学や数理物理学に至るまで幅広く活躍した。そして、それぞれの分野で数多くの重要な古典的論文を残した。彼は旧ソ連のランダウやアメリカ合衆国のファインマンと並び称される万能型理論物理学者の最後の一人であった。中でも、1930年代のオンサーガーの相反定理と不可逆過程の熱力学。1940年代の2次元イジングモデルの厳密解。1950年代の液体ヘリウム理論や揺らぎの理論。こういったものがつとに有名である。それぞれの分野で金字塔になっている。どれもがノーベル賞に値する。実際、オンサーガーの相反定理の化学への有効性でノーベル化学賞を受賞した。
本書は、特に不可逆過程にまつわる彼の研究論文 ― 原子分子の不可逆過程の問題から究極の不可逆過程現象といえる生命現象に至るまでの原論文 ― を集めてある。私はそれらを2年ほどかけて日本語に翻訳した。これらには偉大なる理論化学者の問題提起の仕方、物理現象の捉え方、問題の考え方、計算方法、問題の解き方など、学ぶべき点が満載されている。これらを読み、学ぼう。そうすることからより深く物理化学を学ぶことができる。そして読者それぞれの持つ自分の問題へ応用する場合のヒントの数々を得ることができるに違いない。ぜひオンサーガーの考え方を一人でも多くの方々に学んで欲しいものである。読者に役立つことができれば、私の苦労も報われるだろう。
◎目次
まえがき
第I部 オンサーガーの相反関係式
第1章 同時不可逆過程
1.1 同時不可逆過程
1.2 同時不可逆過程
第2章 不可逆過程における相反関係式.I.
2.1 序文
2.2 不可逆過程の交互相互作用の例
2.3 化学反応とのアナロジー
2.4 結晶中の熱伝導とエネルギー分布のゆらぎ
2.5 エネルギー散逸最小の原理
2.6 定常流と準熱力学
2.7 非可逆な系
第3章 不可逆過程における相反関係式.II.
3.1 序文
3.2 ゆらぎの一般論
3.3 ゆらぎの後退
3.4 相反関係式
3.5 エネルギー散逸最小の原理
3.6 非可逆な系
第II部 ゆらぎと不可逆過程の理論
第4章 ゆらぎと不可逆過程
4.1 序文
4.2 不可逆過程
4.3 ゆらぎ
4.4 ガウスのマルコフ過程
第5章 ゆらぎと不可逆過程.II. 運動エネルギーのある系
5.1 β型変数
5.2 線形二次確率方程式
5.3 分布関数の積分形式
第III部 電解液中の不可逆過程
第6章 混合強電解液中の拡散, コンダクタンス, 粘性流
6.1 序文
6.2 イオン雰囲気のための基礎方程式
6.3 粘性率
6.4 コンダクタンスと拡散
6.5 まとめ
第IV部 電解液誘電体の不可逆過程
第7章 液体拡散の理論と問題
7.1 序文
7.2 系の記法
7.3 非電解液中の拡散
7.4 電解液
第8章 電解液中の運動論的分極欠乏
8.1 本文
8.2 引用文献
第9章 電解液中の誘電分散と誘電摩擦I
9.1 序文
9.2 電気的な散逸と応力;場の方程式
9.3 運動論的分極欠乏
9.4 誘電摩擦、イオン移動度、静的誘電率
9.5 誘電分散;粘性緩和
9.6 議論
第V部 生命と不可逆過程
第10章 熱力学と生物学のいくつかの分子論的観点
10.1 熱力学的関数の使用上の定義について
10.2 分子情報理論
10.3 生物学系
10.4 仮説的なイオン・チャンネル
第11章 原初の生命
11.1 序文
11.2 先カンブリア期についての最新の考え方
11.3 複製とエネルギー担体
11.4 界面起源?
本書は、特に不可逆過程にまつわる彼の研究論文 ― 原子分子の不可逆過程の問題から究極の不可逆過程現象といえる生命現象に至るまでの原論文 ― を集めてある。私はそれらを2年ほどかけて日本語に翻訳した。これらには偉大なる理論化学者の問題提起の仕方、物理現象の捉え方、問題の考え方、計算方法、問題の解き方など、学ぶべき点が満載されている。これらを読み、学ぼう。そうすることからより深く物理化学を学ぶことができる。そして読者それぞれの持つ自分の問題へ応用する場合のヒントの数々を得ることができるに違いない。ぜひオンサーガーの考え方を一人でも多くの方々に学んで欲しいものである。読者に役立つことができれば、私の苦労も報われるだろう。
◎目次
まえがき
第I部 オンサーガーの相反関係式
第1章 同時不可逆過程
1.1 同時不可逆過程
1.2 同時不可逆過程
第2章 不可逆過程における相反関係式.I.
2.1 序文
2.2 不可逆過程の交互相互作用の例
2.3 化学反応とのアナロジー
2.4 結晶中の熱伝導とエネルギー分布のゆらぎ
2.5 エネルギー散逸最小の原理
2.6 定常流と準熱力学
2.7 非可逆な系
第3章 不可逆過程における相反関係式.II.
3.1 序文
3.2 ゆらぎの一般論
3.3 ゆらぎの後退
3.4 相反関係式
3.5 エネルギー散逸最小の原理
3.6 非可逆な系
第II部 ゆらぎと不可逆過程の理論
第4章 ゆらぎと不可逆過程
4.1 序文
4.2 不可逆過程
4.3 ゆらぎ
4.4 ガウスのマルコフ過程
第5章 ゆらぎと不可逆過程.II. 運動エネルギーのある系
5.1 β型変数
5.2 線形二次確率方程式
5.3 分布関数の積分形式
第III部 電解液中の不可逆過程
第6章 混合強電解液中の拡散, コンダクタンス, 粘性流
6.1 序文
6.2 イオン雰囲気のための基礎方程式
6.3 粘性率
6.4 コンダクタンスと拡散
6.5 まとめ
第IV部 電解液誘電体の不可逆過程
第7章 液体拡散の理論と問題
7.1 序文
7.2 系の記法
7.3 非電解液中の拡散
7.4 電解液
第8章 電解液中の運動論的分極欠乏
8.1 本文
8.2 引用文献
第9章 電解液中の誘電分散と誘電摩擦I
9.1 序文
9.2 電気的な散逸と応力;場の方程式
9.3 運動論的分極欠乏
9.4 誘電摩擦、イオン移動度、静的誘電率
9.5 誘電分散;粘性緩和
9.6 議論
第V部 生命と不可逆過程
第10章 熱力学と生物学のいくつかの分子論的観点
10.1 熱力学的関数の使用上の定義について
10.2 分子情報理論
10.3 生物学系
10.4 仮説的なイオン・チャンネル
第11章 原初の生命
11.1 序文
11.2 先カンブリア期についての最新の考え方
11.3 複製とエネルギー担体
11.4 界面起源?