「つまみの開け閉めに力がいるから指が痛くなる」
「つまむのに力がいるのに、意外と重いものは吊るせない」
ステンレス製の洗濯ばさみを使ったことのある人なら、一度はこんな思いをしたことがあるのではないでしょうか。
イメージクラフトの今瀬満さんは、「そんな経験がある人にこそ、強力ハンギングピンチを使ってほしいですね」と言います。
「簡単な実験をしましょう」と、今瀬さんは強力ハンギングピンチと、似た造りのステンレス製洗濯ばさみを取り出しました。
それぞれ、液体の入ったパウチの端を挟むと「このまま持ち上げて、揺らしてみてください」とのこと。
言われたとおりに揺らしてみると...強力ハンギングピンチはがっしりとパウチをつかんで離しません。
対して類似する洗濯ばさみは、持ち上げるのも心もとないくらいの感触。一振りしたら、パウチはずるりと抜け落ちました。
見た目には、差があるようには思えないのに、どうして!?
「強力ハンギングピンチは挟む部分の片方が V 字になっているんです。これによって挟む力が一点に集中するので、表面がつるつるとした滑りやすい素材でもしっかり挟むことができるんです」
原理を聞けばなるほど納得。でも、こんな小さな違いで、結果が大きく変わるなんて、やっぱり驚きです。
つまむときに、力を強くかけなくていいことにも驚きました。指にかかる負荷が少ないので、つまんだり外したりする際も煩わしさを感じません。
仕組み自体は、ばね職人の安江章一と共同開発した、イメージクラフトを代表する商品「まじかるピンチ」を応用したもの。まじかるピンチと同様に、「つまむ力は軽く、挟む力は強く」を実現しています。
フック付きなので、シャツなど軽い衣服をちょっとつまんで引っかけておく、なんてこともできそうです。
「日本一の洗濯ばさみ屋」をめざし製品開発に励む傍ら、実演販売にも出向いてきた今瀬さん。お客さまと直接やりとりする中で、ステンレス製品はファンが多い一方で重さや固さなどの不満に対して「しょうがない」を抱えながら使う人も少なくないと感じていたと振り返ります。
「でも、毎日使うものなんですから、不満が少ないのに越したことはありませんよね。『当たり前だから仕方ない』をくつがえしていくのが、僕のポリシーなんです」
小さいながらも、創意工夫と熱い想いが詰まった強力ハンギングピンチ。その使い心地を、ぜひ体感してもらいたいです。
レポート:伊藤 成美 カメラマン:小池 輝
(2022年1月24日掲載)