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流通経済大学社会学部創設30周年叢書 ハンセン病は人に何をもたらしたのか―ハンセン病療養所の創設から現代まで
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内容説明

ハンセン病は発病したために奪われた尊厳を、人はいかにして取り戻していくのか。差別・偏見への関心から、出会ってきた方の生き様を通して、人間の尊厳を目の当たりにした。差別・偏見が人に与える影響や、差別・偏見を根絶し、そこから自由になるには何が必要で、どのような過程をたどるのか。矛盾に満ちた事実と差別・偏見に立ち向かう人の胸中に迫る。



目次

序章(問題の所在;研究の分析視角;先行研究;本書の構成)
第1章 ハンセン病療養所は医療施設か(ハンセン病療養所の開設と政策の変遷;小笠原登とハンセン病政策;戦前・戦後の無らい県運動とハンセン病療養所;ハンセン病療養所における優生手術)
第2章 ハンセン病政策と当事者運動(第二次世界大戦下のハンセン病療養所における患者作業と団体活動;ハンセン病療養所におけるニュースの発行;「らい予防法」に当事者団体はどう向き合ったか;全寮協会長の「刀折れ矢尽切るまで」の闘い;患者運動と政策の関係―ハンセン病、結核の比較を通して)
第3章 ハンセン病療養所での生活(「社会浄化」と教育;ハンセン病「未感染児」通学拒否事件;教員からみた療養所の子どもたち;ハンセン病療養所入所者が描いた過去・現在)
第4章 ハンセン病療養所の現在と将来に向けて(将来構想の実現;保育所がハンセン病療養所にあること―花さき保育園の取り組み;ハンセン病療養所の地域開放と共生―多麿全生園入所者自治会と保育園;ハンセン病療養所を世界遺産に)
終章



著者等紹介

川崎愛[カワサキアイ]
愛知県生まれ。日本女子大学大学院人間社会研究科社会福祉学専攻博士課程前期修了(社会福祉学修士)。日本女子大学、平安女学院大学、常磐大学を経て、2009年より流通経済大学勤務。現在、社会学部教授(社会学科所属)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



出版社内容情報

「病者の撲滅」を目的としたハンセン病療養所を国が設置したのは1909年。それから110年経過した現在もハンセン病療養所は存在し、そこに暮らす人々がいる。
ハンセン病は死に至る病ではなく、約70年前には治療法が確立していても隔離政策は継続された。ハンセン病療養所への隔離は、地域、家族だけでなく社会からの排除を自身に内在化させた。
本書では、療養所で暮らす病歴者の自発的な表現活動を通して「自己差別」から自身を解放し、社会を動かしていく道筋を明らかにする。
第一章は、療養所入所前、入所後に病歴者が経験する「自己差別」にいたる仕組みをたどる。
第二章は、新たな価値を創造した当事者運動に焦点をあてる。当事者運動が入所者に何をもたらしたのか、運動の積み重ねが社会に与えた影響に注目する。
第三章は、「病者の撲滅」から新たな価値の創造への兆しを個人の多様な姿をひもといていく。
第四章は、新たな価値の創造が個人から個人、地域社会、次の世代へと拡がる動きを追う。