溶融塩の物性―イオン性無機液体の構造、熱力学、輸送現象の微視的側面
内容説明
イオン性無機液体(溶融塩)にみられる種々の巨視的性質がどのようにして形成されているのかを、構成イオン集合体の微視的観点から考察し、解説したものである。それによって関係する最先端科学の基礎が理解され、エネルギーや産業の新たなる展望に貢献できるであろう。溶融塩を利用する立場の人にはまさに有益な参考書といえる。数式の検証をしなくても、図と内容文だけで理工系の大学生、院生、技術者および研究者のどなたでも読解できるよう、丁寧な説明がなされている。
目次
イオン結晶における物性の概略
イオン性化合物の熱力学的性質
溶融塩における熱力学的性質
二元系溶融塩の状態図(組成‐温度)
溶質添加による溶媒の融点降下についての熱力学
溶融塩におけるイオン間相互作用ポテンシャル、遮蔽効果
溶融塩における構造
溶融塩における輸送現象
電気伝導
溶融塩における輸送現象の理論的基礎
溶融塩におけるイオンの拡散係数
溶融塩における熱伝導
溶融塩における粘性
光散乱
イオン性の不完全な溶融塩
室温溶融塩(イオン性液体)
著者等紹介
田巻繁[タマキシゲル]
1956年新潟大学理学部化学科卒業。1959年東北大学大学院理学研究科修士課程物理学専攻中途退学。東北大学金属材料研究所助手。1968年新潟大学理学部物理学科助教授。1969年理学博士(東北大学)。1970年9月から2ヵ年英国イーストアングリア大学上級客員研究員。1977年新潟大学理学部教授。1977年12月から1ヵ年英国イーストアングリア大学客員教授。1998年新潟大学停年退職、新潟大学名誉教授。専門、金属物理学、液体の物性(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)