目次
熱力学とは何か
エネルギー
状態関数
相変化と自由エネルギー
化学反応と熱力学
混合のエントロピー
化学反応の平衡
相平衡と化学ポテンシャル
状態図と自由エネルギー
磁性体における熱力学
熱機関の効率
分子運動の自由度と内部エネルギー
著者等紹介
村上雅人[ムラカミマサト]
1955年、岩手県盛岡市生まれ。東京大学工学部金属材料学科卒、同大学工学系大学院博士課程修了。工学博士。超電導工学研究所第一および第三研究部長を経て、2003年4月から芝浦工業大学教授。東京海洋大学客員教授。超電導工学研究所特別研究員。1972年米国カリフォルニア州数学コンテスト準グランプリ、日経BP技術賞、World Congress Superconductivity Award of Excellence、岩手日報文化賞ほか多くの賞を受賞
出版社内容情報
本書は自由エネルギーを中心として熱力学を解説している。そのため、従来の教科書とはかなり趣を異にしている。従来の熱力学では、熱機関を中心とした導入部分があるが、熱機関では、本来の物理と異なる複数のプロセスからなるサイクルからできているうえ、サイクルで議論をしてしまうため、私から見てもわかりづらい。本来は、サイクルではなく、サイクルを構成している素過程で論ずるべきである。さらに、状態関数であるエントロピーの導入の説明には首を傾げたくなる部分も多い。そこで、本書では、ある程度熱力学の有用性を理解した後で、熱機関について考察をしている。
■弁解ではないが、本書の内容もすべて完結しているわけではない。特に、熱機関の効率に関しては多くの反論が出るのを覚悟で、あえて挑戦的な内容を展開している。(「はじめに」より)
これまでの熱力学の解説書は、現象論的で難解なものであった。本書では数学的考察を中心に展開した今までにないユニークな内容となっている。そのため、この分野の基本的・標準的な書籍として評価されよう。