内容説明
トランスという奥深い現象は、特別な場合にのみ起こるわけではなく、日常のなかにも現われている。同じように日常的に行っているイマジネーションも、その取り入れ方によっては人間の能力を引き出したり、心の安定を生み出したりする。どちらも意識と無意識の境にあるこころの働きである。このトランスとイメージを最大限に利用し、セラピーの効果をあげるのが、著者が長年かけて作り上げた「松木メソッド」である。達人は、セラピーのなかで何を目標とし、何に気づかい、いかにクライエントの苦悩を和らげるのか―こうした松木メソッドのAtoZをまとめたものが、この本である。本書は著者の長年にわたる催眠とイメージ療法への経験を糧に生まれたものである。多くの心理臨床家にとってかけがえのない一冊になるだろう。また、初心者のための催眠マニュアルも附録として収載した。
目次
第1章 催眠中に生じた自発的イメージとコミュニケーション・ツール
第2章 Cl‐Th間の重要なコミュニケーション・ツールとしての催眠現象
第3章 Thが催眠現象(催眠誘導に対するClの反応)をCl‐Th間のコミュニケーション・ツールとして活用するために必要な“観察とペーシングのコツ”
第4章 壺イメージ療法におけるコミュニケーション・ツール機能と体験様式
第5章 無意識に届くコミュニケーション・ツールを効果的に使うために―『悩み方』の解決に焦点を合わせることの意義
第6章 日本語臨床における無意識に届くコミュニケーション・ツールの使い方―日本語表現の多義性・心身両義性の活用
附録 松木メソッド・マニュアルPart 1―効果的な臨床催眠を行うための手引書1
著者等紹介
松木繁[マツキシゲル]
1952年ネ熊本県生まれ京都育ち。鹿児島大学大学院臨床心理学研究科臨床心理学専攻教授、臨床心理士。鹿児島県教育委員会スクールカウンセラー、国立病院機構鹿児島医療センター嘱託心理士(診療援助)、(仁木会)ニキハーティホスピタルスーパーバイザー(熊本市)、鹿児島少年鑑別所視察委員会委員、鹿児島県発達障害者支援体制整備検討委員会委員、京都市教育委員会・地域女性会主催「温もりの電話相談」スーパーバイザー(京都市)、松木心理学研究所顧問(京都市)、日本臨床催眠学会認定臨床催眠指導者資格、日本催眠医学心理学会認定指導催眠士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)