内容説明
18世紀英国の神学者ウォーバートンによるヒエログリフ論の仏訳書に付された、デリダとトールによる70年代後半の各論考を初めて訳出。エクリチュールの複雑性のうちに、言語における起源の問題を“覆い”の発生として批判的に捉えるデリダ。権力の起源としての解釈学的営為に着目し、歴史と真理との関係にひそむ暴力を問うトール。グラマトロジーの鋭利な挑戦がここに継続される。
目次
スクリッブル―権力/書くこと(ジャック・デリダ)
形象変化(象徴的なものの考古学)(パトリック・トール)
著者等紹介
デリダ,ジャック[デリダ,ジャック] [Derrida,Jacques]
1930‐2004。哲学者。フランス領アルジェリアのアルジェに生まれる。パリのエコール・ノルマル・シュペリウール(高等師範学校)卒業後、同校で哲学史を講じる。フッサール現象学についての研究から始めて、構造主義言語学や精神分析などを批判的に取り入れ、西洋において伝統的に続いてきたロゴス中心主義の批判を主張する。「脱構築」「差延」の概念で知られるデリダの哲学は、英米や日本においても、哲学のみならず文学、批評理論、政治哲学、法哲学など多方面に影響を与えている。哲学教育の実践としては1983年に創設された「国際哲学コレージュ」の初代議長も務めている
大橋完太郎[オオハシカンタロウ]
1973‐。神戸大学大学院人文学研究科准教授。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は表象文化論、美学・感性論、近現代西洋思想史。フランス啓蒙思想(ディドロ、ビュフォンなど)、現代思想(フーコー、ドゥルーズ、デリダなど)の基礎理論をアップデートすることを通じて、現代における「フィクション」や「ノスタルジー」の働きを解明するための感性論・イメージ文化理論を考察している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)