内容説明
京都・西陣を舞台に医療者と地域住民が協力してつくりあげた「自分たちの病院」の記録。白峯診療所・堀川病院という特定の医療機関の、約五〇年間の歴史を分析し、それぞれの時代において、人びとの暮らしを舞台に、医療者・住民(患者)がどのように医療や介護を捉え対応しているのかを丁寧に描出。今日の新たな社会・経済構造の変化に応じた医療・介護の役割を模索するための大きな示唆を与える書。
目次
序章
第1章 西陣地域における医療の「民主化」運動(一九四五年〜一九五〇年)(戦後の医療民主化運動;西陣の賃織労働者による医療保障運動への関わり)
第2章 白峯診療所の設立と医療扶助活動(一九五〇年〜一九五七年)(白峯診療所の設立;白峯診療所の医療活動;一九五〇年代の私的医療機関の拡大と白峯診療所の病院化)
第3章 医療法人西陣健康会堀川病院の医療活動と住民組織「堀川病院助成会」の活動(一九五八年〜一九六九年)(堀川病院の設立と住民組織;京都市国保の給付率引き下げをめぐる闘争;堀川病院の施設拡充と医療内容の向上;地域の中の医療活動)
第4章 堀川病院における高齢者医療の取り組み(一九七〇年〜一九七九年)(疾病予防と在宅リハビリ;老人医療費無料請願運動と長期入院による看護問題;間歇入院制の導入と訪問看護の確立;居宅療養と地域支援)
第5章 訪問看護のあらたな課題と地域医療の変容(一九八〇年〜一九九四年)(居宅療養支援と地域の福祉活動;家族による介護の変容と病棟の再編成;介護の社会化を背景にした地域医療の変容)
終章
著者等紹介
西沢いづみ[ニシザワイズミ]
1982年3月新潟大学理学部生物学科免疫学専攻卒業後、2008年4月立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程(一貫性)入学。2017年3月立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程(一貫性)修了(学術博士)。1983年4月〜京都中央看護保健大学校講師・京都保健衛生専門学校非常勤講師・京都府医師会看護専門学校非常勤講師などを勤める。現在、立命館大学生存学研究センター客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)