内容説明
あまりに強欲で残酷、でも間抜けでだまされてばかりいる力の強き者と、悪知恵をたくみに使って狡猾に生きのびる、小さき者。カリブ海の島国ハイチと仏領グアドループで採集された民話、全72話。詳細な訳者あとがきで、物語の成り立ちや植民地時代からの歴史と文化も深く理解できる。
目次
クレオール民話(民話;寓話)
ブキの物語(ブキの風呂;どうしてサルは話さなくなったのか;ミゾ;ブキとマリスがお母さんを売る;ヒツジの国ブキ ほか)
著者等紹介
コメール=シルヴァン,シュザンヌ[コメール=シルヴァン,シュザンヌ] [Comhaire‐Sylvain,Suzanne]
1898年、法学者・政治家・文学者のジョルジュを父として生まれ、ハイチ初の女性人類学者となる。1940年に『ブキの物語』(Le Roman de Bouqui)を発表。弟のノルミルは詩人でハイチの民族文化運動土着主義の機関誌「アンディジェヌ」の共同創刊者。妹のマドレヌはフェミニズム活動家。もうひとりの妹イヴォンヌはハイチで初の女性医師
マダム・ショント[マダムショント] [Madame Schont]
1895年、ロレーヌ地方モゼル県に生まれる。1923年にドイツ語の教授資格(アグレガシヨン)に合格し、1924年にジュリアン・ショントと結婚。1930年、グアドループに移住し、ポワンタピトルのリセ・カルノにフランス語教師として勤務。カリブ海植民地三百周年を記念して1935年に『クレオール民話』(Quelques contes creoles)を発表
松井裕史[マツイヒロシ]
金城学院大学文学部准教授。ニューヨーク市大学大学院センターで博士候補資格取得後、フランスのパリ第八大学で博士号取得。文学博士。フランスおよびフランス語圏文学、とりわけカリブ海が専門(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
あまりに強欲で残酷、でも間抜けでだまされてばかりいる力の強き者と、悪知恵をたくみに使って狡猾に生きのびる、小さき者。
カリブ海の島国ハイチと仏領グアドループで採集された民話、全72話。詳細な訳者あとがきで、物語の成り立ちや植民地時代からの歴史と文化も深く理解できる。
これらの物語はとても細かい点まで、わたしたちの国の農民から集められたもので、彼らはわたしたちの伝統的民俗の一部、わたしたちの民衆の口承文学の一部を成しています。(…)民俗的な価値に哲学的な価値が加わり、ブキの物語は民衆の精神がその観念と渇望の痕跡を無意識のうちに残した国民的記念碑なのです。(「ブキの物語」、「まえがき」より)
マダム・ショントは、これらのいろいろな話を語り部たちの口から採集しました。驚くべき道徳心と辛抱強さから、マダム・ショントは精確であることを気にかけて、細部に至るまで、翻訳することで失われてしまったであろう、この土地の味わいすべてを留めました。ありのままの話の数々が、魅力的な作品の選集を形成しています。(「クレオール民話」、「読者へ」より)