内容説明
通説的にアレクサンドロスの東征やヘレニズム文化とのかかわりから語られてきたガンダーラ彫刻は、実はそれらからは切り離して考えられるべきものである。ガンダーラ彫刻はいつ、何のためにつくられたのか?また、彫刻が盛んにつくられた西北インドにおける仏教とは、どのようなものだったのか?これまでの議論で十分に加味されることのなかった考古学的な情報を最大限に活用して、ガンダーラ彫刻のつくられた時代をみつめなおす。彫刻を歴史の中に位置づけることができてはじめて、仏教文化の源流における仏教の姿がみえてくる。
目次
ガンダーラ彫刻の研究のおもしろさはどこにあるか
第1部 ガンダーラ彫刻はいつつくられたか(彫刻の様式―ガンダーラ地方とウッディヤーナ地方の彫刻の美術様式;彫刻の図像―浮彫画像帯に表された仏教;彫刻の技法―単独像の腕の接合方法;彫刻と碑銘―紀年銘彫刻の制作年)
第2部 ガンダーラ彫刻はなぜ変容したか(建物の石積―ガンダーラ地方の石積編年;王宮と地震―チャナカ・デリーの丘の歴史)
支配と災害と仏教―ガンダーラ彫刻の研究から何がわかったか
著者等紹介
内記理[ナイキサトシ]
1985年、岐阜県生まれ。2008年、京都大学文学部卒業。2013年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。現在、京都大学文化財総合研究センター助教。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
通説的にアレクサンドロスの東征やヘレニズム文化とのかかわりから語られてきたガンダーラ彫刻は,実はそれらからは切り離して考えられるべきものである。ガンダーラ彫刻はいつ,何のためにつくられたのか? また,彫刻が盛んにつくられた西北インドにおける仏教とは,一体どのようなものだったのか? これまでの彫刻の議論の中で十分に加味されることのなかった考古学的な情報を最大限に活用して,ガンダーラ彫刻のつくられた時代をみつめなおす。彫刻を歴史の中に位置づけることができてはじめて,仏教文化の源流における仏教の姿がみえてくる。