内容説明
「使い方を身につけること」に的を絞り、熱力学自体の解説はコンパクトに。長大になりがちな熱力学自体の説明を現代的な方法で最小限にまとめ、物理法則ではなく物質と現象を話題の中心とすることで、初学者が「化学熱力学を使う」ことへのハードルを低くした。現代化学の基礎知識も豊富に盛り込んだ、化学系の大学1年生〜大学院生向け実践的テキスト。
目次
第1章 熱力学の基本骨格(かんたんスタートガイド;化学熱力学への橋渡し;熱力学第1法則 ほか)
第2章 現象論的な方法(熱の出入りと熱力学状態量;熱容量;純物質の状態変化 ほか)
第3章 モデルを用いる方法(理想気体モデル;気体粒子間の相互作用;ファンデルワールス気体モデル ほか)
著者等紹介
勝本之晶[カツモトユキテル]
1971年8月7日生まれ、東京都小平市出身。2000年東京農工大学にて博士(学術)取得。関西学院大学博士研究員(理工学部)、広島大学助教(理学部化学科)、2014年に福岡大学理学部化学科に異動、2019年から理学部化学科教授。専門は高分子物理化学。分光測定、量子化学計算、溶液論などの分野で多数の論文を執筆している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
本書は、長大になりがちな熱力学自体の説明をコンパクトにまとめ、物理法則ではなく、物質と現象を話題の中心とすることで、初学者が「化学熱力学を使う」ことへのハードルを低くし、「使い方を身につけること」に的を絞った、新しいタイプのテキストである。
熱力学の枠組みを現代的な視点で説明する第1章、実際の現象やデータをもとに化学熱力学の使い方を直感的に学ぶ第2章、モデルを使って現象の理解を深める第3章で構成される。初歩的な微積分の知識があれば、大学初年度の学生でも読み進めることができる。第1章冒頭の「かんたんスタートガイド」には第1章全体の要点がまとめてあり、その内容を約束事だと割り切って第2章に進めば、近道で化学熱力学の実践的使用法を学ぶこともできる。この近道は、カリキュラムの関係で、1セメスターもしくは1クォーターくらいしか化学熱力学に充てられない場合にも有用であろう。
かんたんスタートガイドがあることにより、このテキストは次のような段階で読むことができる。
第1段階:第1章のかんたんスタートガイド→第2章の?がついていない節・項
第2段階:第1章全体→第3章の第3.8節まで
第3段階:第2章の?がついている項、第3章の第3.9節以降
第2章の?がついている項と第3章の後半は専門的な内容で、話題ごとにつまみ読みできるようにしてある。第1章の?がついている項目は、第3段階の前に一度読み返すべき内容で、熱力学を整理してすっきりと頭に収めるためのものだ。?がついている項目は、他のテキストではあまり説明されない(かなり)専門的な話題で、分野も材料から生物までなるべく幅広くとりあげた。
熱力学第1法則からエントロピーを数学的に導入し、さらに微積分の知識を使ってギブズエネルギーまでを一気に登場させることで、熱力学自体の説明を最小限に圧縮し、残りの紙面の多くを化学熱力学の使い方の説明に割く。古典的な実験から現代的なテーマまで幅広い話題を取り上げることにより、大学初年度から大学院まで利用できるテキストになっている。また物性系から生命系までさまざまな話題を取り入れ、現代化学の多くの分野で必要とされる基礎知識を提供している。