目次
第1章 溶融塩の物性値
第2章 溶融塩容器材料の腐食とフッ化物、塩化物溶融塩の酸化還元制御
第3章 溶融塩燃料電池
第4章 溶融塩を利用した太陽熱利用システムと輻射伝熱
第5章 溶融塩冷却材の強制対流流動と熱伝達
第6章 原子炉の構成要素と高温熱利用システム
第7章 溶融塩原子炉システム
第8章 安全性を高めた新型原子炉
著者等紹介
深田智[フカダサトシ]
1976年九州大学工学部応用原子核工学科卒業。現在、九州大学名誉教授。博士(工学、九州大学)。専門分野、原子力化学工学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
溶融塩は、高温安定性、酸素や水蒸気との低反応性、水と同程度の粘性、高いイオン伝導度や熱伝導度に優れた材料である。使用温度に合わせたいろいろな融点の溶融塩を提供できるため、原子力、水素、太陽熱、電力を結びつけることを目的に、原子炉の高温冷却材や太陽熱蓄熱材、高温作動燃料電池電解質材料、水素製造用熱媒体など多方面への利用可能性が期待されている。また、フッ化物塩や塩化物塩だけでなく、硝酸塩や硫化物塩の酸素酸塩などの多様な塩の組み合わせにより、多様な性質を発現する可能性に満ちた材料でもある。
本書では、溶融塩物性値の予測と整理をはじめ、金属材料腐食性を解決する酸化還元制御の基礎を説明するとともに、原子炉概念においては溶融塩燃料を使用した新たなモジュラー炉設計が進み、溶融塩の利用可能性が一段と広がっていると考え、ウランあるいはトリウム溶融塩原子炉を利用した水素製造をはじめ、太陽熱蓄熱装置や乾式燃料再処理への利用、溶融塩高速炉を使用したマイナーアクチニド核種の核変換処理による放射性廃棄物中の長寿命核種低減など、溶融塩に関する国内外の最新の研究成果を取りまとめたものである。
エネルギー工学を目指す学生や技術者が、溶融塩をより広く効果的に利用していくうえで好個の参考資料となるであろう。