内容説明
飲めば飲むほど悪化、続けるとやめられなくなる依存症(中毒)、やめようとしてもやめられない離脱症状(禁断症状)の地獄。薬害被害者の生の声、向精神薬の隠された真相と精神医療の実態、くすりに頼らない「心の病」の治し方などを追求するとともに、日本で流通している向精神薬のリストも掲載。
目次
第1章 聞いてください!被害者の訴え(心療内科受診からクリニックをはしごするまで;断薬への挑戦と失敗)
第2章 向精神薬被害者―それぞれの断薬との闘い(安易に受診し症状悪化、一気に断薬;妊娠を契機に断薬;詐病を見抜けず薬を出す医師;DV保護施設でPDSDと診断されて服薬;二〇錠を超える多剤大量処分の地獄から生還し、薬害被害を訴える夫婦)
第3章 向精神薬の正体と被害の実態(薬で心の病は治るのか?;これ以上、被害者を出さないで!)
第4章 向精神薬依存症と心の病の治し方(薬をやめたい―または病院に行かずに心の病を治したい;アシュトンマニュアル;漢方療法中心の精神科・心療内科も選択肢;制度と意識の改革を!)
著者等紹介
北野慶[キタノケイ]
1954年生まれ。1979年北海道大学文学部哲学科卒業。出版社勤務、日本語講師などを経て、韓国語翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
日本の精神医療が語られるとき、33万人にのぼる入院患者数やその平均在院日数の長さが問題にされることはあっても、320万人の精神疾患患者が日常的に受けている薬物療法の危険性が問題にされることはほとんどない。21世紀に入って100万人にまで激増したうつ病患者と不安障害、不眠症など比較的症状の軽い患者、症状の重い統合失調症患者などに同じような薬が処方されている。しかも普通に、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、抗精神病薬などの向精神薬が複数種類何錠も出されているのだ。なかでも抗不安薬、睡眠薬として用いられるベンゾジアゼピン系薬剤は、数十年も前から強い精神的・身体的依存性が指摘されているにもかかわらず、日本では世界一多く消費されている。
今から14年以上前、自律神経失調症とパニック障害から心療内科を受診するようになった私は、いくら通院してもいっこうに改善しない症状に疑問をもち、「薬をやめられない体になった」ことを薄々感じながらも、つい3年前まで、自分自身が向精神薬依存症(薬物中毒)になっていたことを自覚することがなかった。おそらく、睡眠薬を含む多くの向精神薬服用患者が、現在もそのような状態に置かれているものと思われる。
本書は、私自身の向精神薬依存と断薬失敗の経験、苦しい離脱症状(禁断症状)と闘いながらも断薬に成功した人々の体験談をはじめとして、製薬業界と精神医学界がつくり出してきた、「薬が患者を生み、症状を悪化させるメカニズム」を明らかにする。それと同時に、断薬をサポートし、薬に頼らない精神医療を行っている数少ない施設も紹介しつつ、日本の薬漬け精神医療を患者=薬害被害者が主体となって変革していく道筋を模索する。
私のような薬害被害者をこれ以上つくり出さないために、向精神薬の危険性と被害の実態を一人でも多くの人に知ってもらいたい。(きたの・けい)
【著者紹介】
1954年生まれ。1979年北海道大学文学部哲学科卒業。出版社勤務、日本語講師等を経て、韓国語翻訳者。著書に『極北のレクイエム』(彩流社)、『コリア=ニッポン新研究』(柘植書房新社)、『亡国記』(現代書館、近刊)など。