内容説明
虐待を受け続け、誰からも助けられずに大人になってしまった人には何をしたらよいのか?既成の診断基準や症状論に当てはまらないトラウマ症状の数々。これらの問題に的を絞ったまったく新しい介入プログラムの本邦初の紹介。
目次
児童期虐待によるトラウマ
アタッチメント
剥奪されて育つ
治療原理
感情的、社会的リソースの構築
トラウマ記憶に取り組む
ナラティブを広げる
治療実施のガイドライン
患者を評価し、治療の適応を考える
感情と対人関係の調整スキルトレーニング(STAIR)
ナラティブ・ストーリー・テリング(NST)
著者等紹介
クロアトル,メリレーヌ[クロアトル,メリレーヌ] [Cloitre,Marylene]
ニューヨーク大学チャイルドスタディセンターのトラウマ・ストレス研究所の初代所長であり、ニューヨーク大学児童青年精神科の教授である。臨床と研究の関心は、児童期虐待の青年期や成人期における発達的影響や治療に注がれてきた。このテーマについての論文を広く発表し、トラウマが子どもや大人に及ぼす心理社会的影響に取り組むためのエビデンスに基づく治療介入や予防のために、アメリカ国立衛生研究所や他機関から複数の助成を受けてきた。現在、国際トラウマティックストレス学会の理事を務めており、過去にはPTSDの治療ガイドライン策定のためのアメリカ国家委員会の委員も務めた。マギル大学で学士号を取得し、コロンビア大学で博士号を取得した
コーエン,リサ・R.[コーエン,リサR.] [Cohen,Lisa R.]
コロンビア大学社会福祉学部の社会的介入グループの研究者であり、アメリカ国立薬物乱用研究所の助成を受けて、PTSDと物質使用障害の女性に対する治療法の開発と検証に取り組んでいる。また、トラウマが養育や世代間の関係に及ぼす影響についても研究している。ニューヨーク市で複雑性PTSDを専門とした心理療法を個人開業で続けている。ペンシルベニア大学で学士号を取得し、エール大学で臨床心理学のPh.Dを取得した。ニューヨーク・ホスピタル・コーネル・メディカル・センターのペイン・ホイットニー・クリニックの不安と外傷性ストレスプログラムでポスドク研究員に従事した
ケーネン,カレスタン・C.[ケーネン,カレスタンC.] [Koenen,Karestan C.]
ハーバード大学公衆衛生学部の社会・人間発達・健康と疫学の助教授である。トラウマへの暴露とPTSDやうつ病などのストレス関連の精神障害の疫学を理解するために、発達的アプローチを用いている。研究はアメリカ国立衛生研究所から助成を受けており、国際トラウマティックストレス学会からChaim Danieli Young Professional Awardを受賞し、アメリカ心理学会からRobins‐Guze Young Investigator Awardを受賞している。経験豊富な臨床医でもあり、実験的に有効性が認められたPTSDの治療を専門としている。ウェルズリー大学で学士号、コロンビア大学で修士号、ボストン大学で博士号を取得した
金吉晴[キンヨシハル]
精神科医。京都大学医学部卒、同大より医学博士取得。国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター成人精神保健部、ロンドン精神医学研究所等を経て現在は国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所長。国際トラウマティックストレス学会理事、日本トラウマティックストレス学会等理事。ペルー大使公邸事件での活動により厚生大臣表彰。PTSDの病態解明、治療研究、災害時精神医療、統合失調症研究等に従事。PE療法認定指導者(CTSA,Pennsylvanida大学)
河瀬さやか[カワセサヤカ]
Licensed Clinical Social Worker(カリフォルニア州)。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒(心理学)、同大よりソーシャルワーク修士号、山梨大学医学部より医科学博士号取得。国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター、東京女子医科大学附属女性生涯健康センターを経て現在はカルフォルニア州の医療機関Kaiser Permanenteの精神科勤務の傍ら、自身のクリニックでトラウマと強迫性障害の治療に携わっている。PE療法認定スーパーバイザー(CTSA,Pennsylvanida大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)