内容説明
統合失調症の人びとが描いた絵に共通する特徴とは?描画法の心理検査で描かれた患者さんの描画を個別に解釈し、統計的に分析。予後や退院時期などの描画テストによる見極めや、統合失調症という精神障害の全体像を考察。
目次
第1章 統合失調症について
第2章 草むらテスト
第3章 樹木画と病棟認知地図
第4章 視点変換課題
第5章 コーヒーカップ課題
第6章 描画課題間の特徴の比較
第7章 描画の全体的印象
第8章 長期経過と描画の特徴
第9章 症例検討1
第10章 症例検討2
著者等紹介
横田正夫[ヨコタマサオ]
1954年、埼玉県生まれ。1976年に日本大学芸術学部映画学科卒業後、同大学大学院文学研究科心理学専攻博士前期課程修了、博士後期課程満期退学。その後、群馬大学医学部精神医学教室に勤務し、統合失調症の認知障害の研究を行う。医学博士、博士(心理学)、臨床心理士、認定心理士。1991年に日本大学文理学部心理学科に専任講師として就職し、同大学助教授、日本アニメーション学会会長などを歴任。現在は日本大学文理学部心理学科教授、公益社団法人日本心理学会理事長、一般社団法人日本心理学諸学会連合理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
患者さんの描く絵に共通する特徴とは
統合失調症は、全人口の約100人中1人が発症する、比較的頻度の高い精神障害です。その症状の経過や退院時期などの見極めを、描画法の心理検査を用いてどう行えるのでしょうか。本書では患者さんが実際に描いた約80点の描画を収載し、個別の解釈(アート)と描画特徴の統計的な分析(エビデンス)という両側面から、それらのユニークな心象風景および障害の全体像の解明を試みました。あわせて、筆者らが考案した「草むらテスト」という描画テストを紹介し、心理臨床で用いる際の手引書となるように内容を構成しています。
描画にみる統合失調症のこころ 目次
まえがき
第1章 統合失調症について
はじめに
統合失調症とは
患者さんの体験・症状生起
私の出会った患者さんの話
第2章 草むらテスト
実施手続き・描画課題
風景構成法ではどうなるか
統合型HTP法ではどうなるか
教示方法の工夫
描画例健常者の場合
描画例統合失調症患者の場合
描画特徴の比較
●特徴の出現数 ●500円の描き方
統一的視点の設定困難
●視点のちがい ●個別の解釈
患者さんの描画と解釈の例
●東大一直線 ●風景構成法の患者さん ●家の象徴
●金属探知機での探索 ●自動販売機
●断片化の著しい描画 ●目玉棒人間
●身体から木が生える描画 ●I love youの描画
●クローン人間の描画
第3章 樹木画と病棟認知地図
患者さんの描画例
●47歳男性 ●28歳男性
描画特徴の相違点と共通点
病棟認知地図の三つのタイプ
樹木画の描画特徴
第4章 視点変換課題
健常者の描画例
患者さんの描画例
●横一列 ●同構図 ●その他のパターン
●正変換できたケース
描画特徴の出現率
第5章 コーヒーカップ課題
患者さんの描画例
●カップと受け皿の分離 ●二重写しと包含 ●接合
●視点の統一が三次元的にとられている例 ●まとめ
描画特徴の出現率
第6章 描画課題間の特徴の比較
「分離」の出現率の比較
草むらテストの課題設定の特異性
描画特徴の空間的布置
第7章 描画の全体的印象
全体的印象の因子分析
第1因子静態性
第2因子写実性
第3因子非整合性
第8章 長期経過と描画の特徴
退院の予測
描画特徴の5年経過
●多変量解析 ●経過の予測モデル
第9章 症例検討?
症例A 男性(入院時30歳?)
●第1期(30歳?34歳) ●第2期(35歳?39歳)
●第3期(40歳以降)
描画の変遷
●第1期の描画 ●第2期の描画 ●第3期の描画
状態と描画の関連
草むらテストの縦断的分析
第10章 症例検討?
症例B 女性(入院時34歳?退院時57歳)
●第1期(34歳?47歳) ●第2期(48歳?52歳)
●第3期(53歳?57歳)
描画の変遷
●第1期の描画 ●第2期の描画 ●第3期の描画
状態と描画の関連
あとがき
横田 正夫[ヨコタ マサオ]
著・文・その他