アジア系アメリカと戦争記憶―原爆・「慰安婦」・強制収容
内容説明
「アメリカ帝国」への批判的視座から、日本の植民地支配や戦争犯罪、軍事性暴力を問う北米アジア系の人々の声を、日系や在米コリア系の作家・研究者・政治家・運動家などの言説から検証する。そして、それらの語りが、太平洋横断的なリドレスの希求と連結を拓く可能性を提示する。
目次
二つの戦争展と被害/加害の記憶
第1部 アジア系アメリカと「慰安婦」言説―「日米二つの帝国」という語り(アメリカで日本軍「慰安婦」問題を言説化すること―「特集号」の問いかけ;二つのリドレス―マイク・ホンダとアメリカの正義の限界;(不)在を映し出す場としての在米「慰安婦」追悼碑)
第2部 複数の暴力と連結が開く可能性―日系とコリア系北米作家の描く「祖国の戦争」(「二つの帝国」と「脱出・救済物語」の領有/撹乱―ノラ・オッジャ・ケラーの『慰安婦』;「加害者の物語」―チャンネ・リーの『最後の場所で』が示す「慰安婦」像と「正しくない被害者」の心的損傷;国家記憶の統合/断絶としての人種暴力―ジョイ・コガワの『おばさん』における長崎・強制収容・先住民;祖国の惨苦を聞くということ―ノラ・オッジャ・ケラーの『慰安婦』が描く母の戦争と追悼という語り)
著者等紹介
中村理香[ナカムラリカ]
成城大学経済学部教授。東京大学大学院人文科学研究科を経て、アメリカ・ラトガース大学英語圏文学科博士。専攻はアジア系アメリカ研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)