内容説明
マインドフルネス瞑想は確かにストレスや不安を軽減する。しかし、瞑想による内面への注目はトラウマを活性化する可能性がある。本書は最新のトラウマ理論とマインドフルネス研究を丹念に辿り、マインドフルネス瞑想にはトラウマへの配慮が必須であることを説く。一方で、トラウマ・サバイバーの体験は、性差別や人種差別をはじめとした抑圧の歴史により軽視され、見えにくくなっている―。トラウマを理解し、マインドフルネスの強力な利点を活用しながらリスクを最小限に抑える安全な瞑想に体系的な指針を与える、マインドフルネス講師と学習者の必読書。
目次
序説 なぜ、トラウマセンシティブ・マインドフルネスなのか
第1部 トラウマセンシティブ・マインドフルネスの基盤(遍在するトラウマ―見えるものと見えないもの;瞬間と向き合う―マインドフルネスとトラウマによるストレス;現在を形作る過去―マインドフルネスとトラウマの歴史;トラウマとマインドフルネスにおける脳と身体)
第2部 トラウマセンシティブ・マインドフルネスの五つの原則(トラウマセンシティブ・マインドフルネスの原則その1 耐性の窓にとどまる―覚醒の役割;トラウマセンシティブ・マインドフルネスの原則その2 安定のために注意をシフトする―恐怖と不動性のサイクルを回避する;トラウマセンシティブ・マインドフルネスの原則その3 身体を常に意識する―解離への働きかけ;トラウマセンシティブ・マインドフルネスの原則その4 関係性の中で実践する―サバイバーの安全と安定をサポートする ほか)
結語 トラウマを変容させる
著者等紹介
トレリーヴェン,デイビッド・A.[トレリーヴェン,デイビッドA.] [Treleaven,David A.]
Ph.D.。トラウマとマインドフルネスと社会正義の交差する領域に焦点を当て、教育とセラピーに携わる。ブリティッシュ・コロンビア大学でカウンセリング心理学を学び、カリフォルニア・インスティテュート・オブ・インテグラル・スタディーズで心理学の博士号を取得。20年以上にわたりマインドフルネス研究に従事し、サンフランシスコのベイエリアで個人開業している
渋沢田鶴子[シブサワタズコ]
ニューヨーク大学大学院社会福祉学部(2006‐2019年)およびコロンビア大学大学院社会福祉学部(1997‐2006年)准教授を歴任。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)修士・博士号(MSW,Ph.D.)取得。専門は臨床ソーシャルワーク、家族療法、高齢者福祉。マサチューセッツ州立大学医学部およびブラウン大学公衆衛生学部Center for Mindfulness MBSR指導者養成コース修了、MBSR認定講師(Certified Teacher)およびティーチャー・トレイナー(Teacher Trainer)。Center for Mindful Self−Compassion,MSC Trained Teacher.Japan Mindfulness Collaborative 共同代表
海老原由佳[エビハラユカ]
セルフ・コンパッション・サークル代表。マインドフル・セルフ・コンパッション(MSC)認定講師(Certified Teacher)。David Treleaven氏の日本向けワークショップ通訳およびビデオ教材の字幕翻訳を始め、日本初のMBSR講師養成トレーニング通訳など、マインドフルネス関連の通訳・翻訳を数多く手がける。ジェンダー平等な政治の実現を目指して若手女性へのトレーニングを行う一般社団法人パリテ・アカデミーにトレーナーとして参画。1995年から2000年にかけては、FMラジオJ−WAVEナビゲーターとして平日ワイド番組を担当するかたわら、テレビ朝日キャスター、NHK番組ナレーション、雑誌コラム執筆など、多方面で活動した。東京大学大学院卒(社会心理学修士)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)