内容説明
複雑性PTSD(CPTSD)は、いよいよ国際疾病分類(ICD‐11)における公式診断として登場することになり、わが国のトラウマ臨床において、そして一般の臨床においても広く使われることが予想される。本書は、CPTSDに関する基礎知識から臨床応用までを網羅した、現在数少ない本格的な臨床書である。昨今、日常臨床において、親による心理的・身体的虐待や学校でのいじめ・体罰、各種ハラスメントなど、CPTSDと関連性の深い事態・病態が多く見受けられるが、本書は現場で対応の難しいケースについて治療への有効なヒントを提供することだろう。さまざまな病態の背後にあるCPTSD、その適切な評価と治療的対応を詳述したわが国初の臨床書。
目次
第1部 複雑性PTSDの基礎知識(複雑性PTSDの概念・診断・治療;複雑なPTSDの治療手順;CPTSDについて考える ほか)
第2部 複雑性PTSDをめぐる臨床的話題(現代の心的外傷体験考―我が国が抱える“変化した/変化していない”問題点から考える;子どもの複雑性トラウマをどうとらえるか;安全感と安心感を提供する ほか)
特論 三つの論文を学び味わう―心的外傷理論の重要性と危険性(心的外傷理論の拡大化に反対する;心的外傷―問題の所在;トラウマ論が精神療法学にもたらしたもの ほか)
著者等紹介
原田誠一[ハラダセイイチ]
昭和32年東京で生まれる。昭和58年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科。東京都立中部総合精神保健センター。東京都立墨東病院内科・救命救急センター。神経研究所附属晴和病院。東京逓信病院精神科・医長。三重大学医学部精神科・講師。国立精神・神経センター武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)外来部長を経て、平成18年7月、東京飯田橋に原田メンタルクリニック・東京認知行動療法研究所を開設。奈良県立医科大学精神科、大正大学・学習院大学臨床心理学科、非常勤講師を併任。学会活動:日本認知療法・認知行動療法学会監事。日本精神神経学会・精神療法委員会委員など。学術専門誌活動:「精神療法」誌(金剛出版)編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)