内容説明
虐待、ドメスティック・バイオレンス(DV)、身体疾患、災害などによる子どものトラウマをどのようにケアし、治療に結びつけていくのか。本書では、第一線で子どものトラウマに携わる専門家たちが、たゆみない研究と実地の経験から得られた知見を惜しみなく提示する。第1部では、子どものトラウマについて、その歴史と診断概念の変遷を述べ、適切なアセスメントを行うための方法とトラウマ体験やPTSD症状をアセスメントする各種評価法が解説される。第2部で、虐待やネグレクト、DVなどの不適切養育の問題や子どものトラウマ症状をアタッチメントの観点から考察を加えて、養育者や周辺の人も含めた支援と治療につないでいき、第3部で、トラウマ体験を誘引とする素行障害や自殺行動といった重要なテーマにも言及する。
目次
第1部 アセスメントと診断(子どもの外傷後ストレス障害(PTSD)―その歴史と概念の変遷:臨床研究の黎明から2005年まで
子どものトラウマとアセスメント
子どもの心的外傷反応の評価・診断―主に単回性外傷体験の評価について
子どものトラウマ反応―身体症状を中心として)
第2部 アタッチメントの観点を治療につなぐ(発達精神病理学からみたトラウマとアタッチメント;被害体験を持つ虐待的な親への介入・援助―アタッチメントの観点を中心に;子どものアタッチメントとトラウマに焦点を当てた心理療法;トラウマと脱愛着―発達神経学的観点からみた乳幼児の解離;子どもの性問題行動の理解と支援―アタッチメントとトラウマの観点から;児童養護施設における子どもたちの自伝的記憶―トラウマと愛着の観点から)
第3部 子どものトラウマの諸問題(トラウマと素行障害;精神発達の視点から見た子どもの自殺行動)
著者等紹介
笠原麻里[カサハラマリ]
駒木野病院副院長。東京女子医科大学医学部卒業。慶應義塾大学病院精神・神経科、国立精神・神経医療研究センター国府台病院児童精神科、国立成育医療研究センターこころの診療部などを経て、2011年より駒木野病院児童精神科診療部長、2018年より現職。日本トラウマティック・ストレス学会理事、「トラウマティック・ストレス」編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)