内容説明
本書はハリー・スタック・サリヴァンに学び精神分析家・神経科学者としてキャリアをスタート、パロ・アルト・グループ(ベイトソン/ジェイ・ヘイリー/ジョン・ウィークランド/ジャクソン)に参加し、メンタル・リサーチ・インスティテュート(MRI)を創設しながら、48歳の若さで早世した天才セラピストの仕事を纏めた二冊の論集より、本邦初訳の重要論文を厳選した論文選である。各々の論考は、統合失調症患者とその家族の詳細な事例描写、「家族ホメオスターシス」「マリタル・キド・プロ・クオ」といった概念の考察を通して、家族療法・ブリーフセラピーの興隆につながる非規範的・相互作用的精神療法の出発点を示している。
目次
1 「相互作用」の発見(家族ホメオスターシスの問題 1954/1957;家族ルール―マリタル・キド・プロ・クオ 1965;統合失調症エピソードに関する患者と治療者の所見 1958)
2 「相互作用」の臨床(統合失調症症状と家族相互作用 1959;統合失調症患者の家族における家族療法 1961;合同家族療法―理論、技法と結果についての考察 1961;相互作用的精神療法 1961;家族ホメオスターシスと患者変化 1964)
著者等紹介
小森康永[コモリヤスナガ]
1960年岐阜県生まれ。1985年岐阜大学医学部卒業。同大学小児科に在籍。1990年Mental Research Institute留学。1995年名古屋大学医学部精神科へ転入後、愛知県立城山病院に勤務。現在、愛知県がんセンター中央病院緩和ケアセンター長
山田勝[ヤマダマサル]
1962年愛知県生まれ。1988年愛知教育大学大学院修士課程修了。名古屋大学医学部精神医学教室入局。1991年愛知県立城山病院に勤務。臨床心理士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
グレゴリー・ベイトソンとともにダブルバインド理論の礎を築いた天才家族療法家ドン・ジャクソンの理論と実践を本邦初訳。
20世紀半ば,家族全員を集めてセラピーを行う合同家族療法の同時多発的な発生が,個人を超えて,関係・相互作用・システムを直接的に扱う「家族療法」の嚆矢とされる。コミュニケーションを治療対象とするこの新たな領域の誕生において,グレゴリー・ベイトソンの名で知られるダブルバインド理論に臨床上の裏付けを与えたのが,精神科医ドン・D・ジャクソンの相互作用パターンを見抜く観察眼と驚異的な診断能力であった。本書は,ハリー・スタック・サリヴァンに学び精神分析家・神経科学者としてキャリアをスタート,パロアルト・グループ(グレゴリー・ベイトソン/ジェイ・ヘイリー/ジョン・ウィークランド/ドン・ジャクソン)に参加し,メンタル・リサーチ・インスティテュート(MRI)を創設しながら,48歳の若さで早世した天才セラピストの仕事を纏めた二冊の論集より,本邦初訳の重要論文を厳選した論文選である。各々の論考は,統合失調症患者とその家族の詳細な事例描写,「家族ホメオスターシス」「マリタル・キド・プロ・クオ」といった概念の考察を通して,家族療法・ブリーフセラピーの興隆につながる非規範的・相互作用的精神療法の出発点を示している。
ジャクソンとパロアルト・グループ,フリーダ・フロム-ライヒマン,ミルトン・H・エリクソン,アーヴィン・ヤーロムら同時代のマスターセラピストの交錯を描く訳者解説「パロ・アルトの家族療法家,ドン・D・ジャクソン」を収載。
Section I 「相互作用」の発見
はじめに ジェイ・ヘイリー
序.ウェンデル・レイ
1.家族ホメオスターシスの問題[1954/1957]
2.家族ルール―マリタル・キド・プロ・クオ[1965]
3.統合失調症エピソードに関する患者と治療者の所見[1958]:w.ジョン・ウィークランド
Section ?U 「相互作用」の臨床
はじめに:ポール・ワツラウィック
プロローグそして,いくらかの回想:カルロス・E・シュルツキ
ドン・ジャクソンの目で見る:ウェンデル・レイ
4.統合失調症症状と家族相互作用[1959]:w.ジョン・H・ウィークランド
5.統合失調症患者の家族における家族療法[1961]
6.合同家族療法―理論,技法と結果についての考察[1961]:w.ジョン・H・ウィークランド
7.相互作用的精神療法[1961]
8.家族ホメオスターシスと患者変化[1964]:w.アーヴィン・ヤーロム
解説:パロ・アルトの家族療法家,ドン・D・ジャクソン 小森康永