内容説明
世界のムスリム人口が増加するなか、ムスリムの日常生活における規範を記すイスラーム法を、「子ども」や「家族」、「子育て」をキーワードに、ジェンダー視点を交えて考察する。
目次
序論(法学書を子ども観から読み解く―本書の目的;本書の特徴と意義 ほか)
第1章 人間の成長段階と法的能力(イスラーム法における子どもの概念;身体的成熟と法的能力の変化 ほか)
第2章 父の権限と子への義務(実子の確定;子の宗教と新生児儀礼 ほか)
第3章 母の役割と「子の利益」(母の授乳は義務なのか;乳母の雇用をめぐる問題 ほか)
第4章 子どもへのクルアーン教育(子どもへの教育を示す言葉;クルアーン教師の雇用規定 ほか)
結論―イスラーム法の子ども観が映すもの
著者等紹介
小野仁美[オノヒトミ]
東京外国語大学外国語学部アラビア語学科卒業。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得。博士(文学)。元在チュニジア日本国大使館専門調査員。現在は、東京大学大学院人文社会系研究科研究員、立教大学、多摩美術大学、神奈川大学、非常勤講師。専門は、イスラーム法、チュニジア地域研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
▼ムスリムの日常の生活を規定するイスラーム法(フィクフ)を、ジェンダー視点で読み解く。
▼ムスリムの家庭における、父と母、子どもの関係やあり方を知るための重要な一冊。
イスラーム教徒の社会生活の規範を形作ったイスラーム法が、いかに「子ども」や「家族」を規定していたのか。
神の教えに基づく共同体の形成が目指されたイスラーム社会においては、共同体の未来たる子どもたちをいかに育てるかは重要な関心事であり、本書ではその具体的な生活指針を記す古典イスラーム法学書を中心に、子どもと周囲の人々をめぐる記述を分析。ジェンダー視点から、イスラーム法における家族像を探る。