内容説明
官僚を目指していた空海が大学を辞め、二十四歳で著した『三教指帰』は、儒教、道教、仏教を戯曲形式で比較し、仏教が最上であることを親族に説得する出家宣言の書と理解されてきた。本書は、激動の時代背景や神話・伝承、『日本書紀』などの歴史書と照らし合わせ、『三教指帰』執筆の隠された意図に迫る。稀代の専制君主・桓武天皇に対する憤りと古来、天皇に仕えてきた祖先への誇り―。両者に引き裂かれた若き空海が、命を賭して伝えようとしたのは何か?
目次
プロローグ―憤懣の書
第1章 空海の決意―天皇への忠と祖先への孝(空海とは誰か―これまでのイメージ;来歴―誰に向けて書かれたか;時代背景 ほか)
第2章 『聾瞽指帰』を読み解く(表と裏のメッセージ;儒教の篇―暴君は誰か;道教の篇―風狂の隠者たち ほか)
第3章 忠孝の行く末(『聾瞽指帰』のその後;密教との出会い;完成の日―天皇即位の伝承 ほか)
著者等紹介
藤井淳[フジイジュン]
駒澤大学仏教学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。プリンストン大学宗教研究所客員研究員、フンボルト・フェロー(ハイデルベルク大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
▼空海が命を賭した書――。
官僚を目指していた空海が大学を辞め、二十四歳で著した『三教指帰』は、
儒教、道教、仏教を戯曲形式で比較し、仏教が最上であることを親族に説得する
「出家宣言の書」とこれまで理解されてきた。
本書は、激動の時代背景や神話・伝承、『日本書紀』などの歴史書と照らし合わせ、
『三教指帰』執筆の隠された意図に迫る。
稀代の専制君主・桓武天皇に対する憤りと
古来、天皇に仕えてきた祖先への誇り―。
両者に引き裂かれた若き空海が、命を賭して伝えようとしたのは何か?