内容説明
日本美術史は、仏教との関係を看過して語りえない。漢訳仏典を淵源とする図像が絵巻や掛幅に広く用いられ、時に、世俗の文学や伝承とも結びついて多義的な意味と霊性を獲得した。因果応報観に基づく絵巻、六道輪廻と救済を説く六道絵、朽ちてゆく死体を描く九相図など、中世日本における闇の表象を取り上げ、各々の図像成立と受容の歴史に迫る。
目次
序 日本中世の絵画と経説
1 経説絵巻論(「地獄草紙」「餓鬼草紙」―経説絵巻の手法;「病草紙」―経説から説話へ;「辟邪絵」―経説の痕跡;「伴大納言絵巻」―破戒の図像;「粉河寺縁起絵巻」―救済の図像)
2 宝蔵絵論(後白河上皇と常盤;光長―宝蔵絵誕生と絵師伝説;「放屁合戦絵巻」―中世後期の宝蔵絵再生)
3 六道絵論(「六道絵」の淵源―鳥羽安楽寿院の炎魔天堂;「六道絵」の構成―聖衆来迎寺本「閻魔王庁幅」の位置;「六道絵」の構図―聖衆来迎寺本「地獄四幅」に見る階層構造;「六道絵」の伝来―聖衆来迎寺本の修復と移動;「六道絵」の異本―フリーア美術館本の図像と様式;「六道絵」の終焉―出光美術館本と中世末期南都の信仰)
4 九相図論(九相図の源流―経説から文学へ;九相図の生成―不浄と無常の図像;九相図の変容―転生する身体)
著者等紹介
山本聡美[ヤマモトサトミ]
1970年、宮崎県に生まれる。2002年、早稲田大学大学院文学研究科芸術学(美術史)専攻博士後期課程単位取得満期退学。2007年、博士(文学)。大分県立芸術文化短期大学専任講師、金城学院大学准教授、共立女子大学教授を経て、早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
日本美術史は、仏教との関係を看過して語りえない。漢訳仏典を淵源とする図像が絵巻や掛幅に広く用いられ、時に、世俗の文学や伝承とも結びついて多義的な意味と霊性を獲得した。因果応報観に基づく絵巻、六道輪廻と救済を説く六道絵、朽ちてゆく死体を描く九相図など、中世日本における闇の表象を取り上げ、各々の図像成立と受容の歴史に迫る。