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環境条約交渉の政治学―なぜ水俣条約は合意に至ったのか
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内容説明

2013年10月、熊本県で開催された国際会議において、水銀に関する水俣条約が採択された。本条約は、各国が資金を拠出し、遵守システムも備え、そのうえ各国の水銀政策にまで規制をかけるという内政干渉性の強い制度も盛り込む形で合意された、稀な条約の一つである。本書は、この水俣条約の交渉過程を分析することによって、条約交渉において、問題の解決に有効な制度と各国が政治的に合意可能な制度とを一致させるには、どのような要因が重要なのかを明らかにする。



目次

本書の射程
第1部 条約制度を問う(国際関係学における遵守の確保―三位一体制度の本質;環境条約交渉の理論と分析方法)
第2部 交渉内の要因の検討―条約交渉分析(協調枠組みをめぐる交渉―水俣条約の設置;諸制度をめぐる交渉―資金メカニズムと遵守システム;交渉比較分析―ストックホルム条約との比較)
第3部 交渉外の要因の検討―国際機関と国内政策(UNEPと国際環境条約;先進国の水銀政策―アメリカ、EU、日本)
水俣条約の現在と展望



著者等紹介

宇治梓紗[ウジアズサ]
2012年京都大学法学部卒業。2014年京都大学大学院法学研究科法政理論専攻修士課程修了。2018年京都大学大学院法学研究科法政理論専攻博士後期課程修了。京都大学大学院法学研究科助教を経て、現職。その間、ハーバード大学大学院(Graduate School of Government)、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(Center for Comparative and International Studies)にて在外研究。現在、京都大学大学院法学研究科講師。博士(法学)。専門:国際政治経済学、グローバルガバナンス(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



出版社内容情報

多くの国が参加し,複数の争点をめぐって議論される条約交渉において,問題解決に効果的な制度と各国が合意可能な制度とを一致させるには,どのような要因が重要なのだろうか。水俣条約交渉の分析を通して,理想的な制度が成立するための要因を明らかにする。

序 章 本書の射程
 第I部 条約制度を問う
第1章 国際関係学における遵守の確保──三位一体制度の本質
第2章 環境条約交渉の理論と分析方法
 第II部 交渉内の要因の検討─条約交渉分析
第3章 協調枠組みをめぐる交渉──水俣条約の設置
第4章 諸制度をめぐる交渉──資金メカニズムと遵守システム
第5章 交渉比較分析──ストックホルム条約との比較
 第III部 交渉外の要因の検討─国際機関と国内政治
第6章 UNEPと国際環境条約
第7章 先進国の水銀政策──アメリカ,EU,日本
結 章 水俣条約の現在と展望