内容説明
職場でのストレスチェック制度が施行されるなど、働く人のメンタルヘルスへの対策が必要とされている今、従来型のうつ病とは異なる「新型うつ」が注目されている。本書は、職場における新型うつの実態を、綿密なインタビュー調査等によって得られた研究成果に基づいて明らかにする。その上で、うつを予防する職場づくり、新型うつのアセスメント、上司による働きかけ、心理職等との連携による支援に役立つ具体的知見を提供する。
目次
第1部 職場のメンタルヘルスと「新型うつ」(職場のメンタルヘルスの現状;「新型うつ」とはどのような現象か;「新型うつ」と混同されがちな問題)
第2部 上司による「新型うつ」への対応(上司は「新型うつ」の部下にどのように対応しているか;上司は従来型うつ病の部下にどのように対応しているか;上司が感じる「新型うつ」と従来型うつ病の違い)
第3部 「新型うつ」を理解する(「新型うつ」はどのように症状を発現させるか;自分の「新型うつ」傾向をチェックする;気になる人の「新型うつ」傾向をチェックする)
第4部 連携による職場づくりと支援(「新型うつ」への心理支援の実際;「新型うつ」の心理支援には何が必要か;職場はどのように「新型うつ」に対処すればよいか)
研究に用いた方法の紹介
著者等紹介
下山晴彦[シモヤマハルヒコ]
1957年生まれ。1983年東京大学大学院教育学研究科博士課程中退。東京大学学生相談所助手、東京工業大学保健管理センター専任講師などを経て、東京大学大学院臨床心理学コース教授。博士(教育学)、臨床心理士
中野美奈[ナカノミナ]
金融業および製造業に勤務した後、2015年東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース博士課程修了。東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース特任助教、EAP企業勤務を経て、社会医療法人祥和会脳神経センター大田記念病院勤務。博士(教育学)、臨床心理士、産業カウンセラー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
「気持ちを受け止める」「必要に応じて背中を押す」「褒めつつ叱る」…会社のメンタルヘルスを改善するための具体的なヒント満載職場でのストレスチェック制度が施行されるなど、働く人のメンタルヘルスへの対策が必要とされている今、従来型のうつ病とは異なる「新型うつ」が注目されている。本書は、職場における新型うつの実態を、綿密なインタビュー調査等によって得られた研究成果に基づいて明らかにする。その上で、うつを予防する職場づくり、新型うつのアセスメント、上司による働きかけ、心理職等との連携による支援に役立つ具体的知見を提供する。
監修者のことば
はじめに
第?部 職場のメンタルヘルスと「新型うつ」
第1章 職場のメンタルヘルスの現状
1 日本におけるメンタルヘルス問題の増加
2 産業領域のメンタルヘルス対策
3 職場における対人関係問題の増加
4 「新型うつ」への注目
第2章 「新型うつ」とはどのような現象か
1 新型うつ病
2 逃避型抑うつ
3 現代型うつ病
4 未熟型うつ病
5 ディスチミア親和型うつ病
6 退却神経症
7 職場不適応症
8 海外における現状および先行研究
9 「新型うつ」と回避
第3章 「新型うつ」と混同されがちな問題
1 従来型うつ病(回復期)
2 非定型の特徴を伴う抑うつ障害
3 双極?型障害
4 自閉症スぺクトラム障害(発達障害)の二次障害としての「うつ」
5 適応障害
第?部 上司による「新型うつ」への対応
第4章 上司は「新型うつ」の部下にどのように対応しているか
1 上司から見た「新型うつ」の部下の特徴
2 多くの上司が最初に試みること
3 部下の診断書が意味するもの
4 上司は「新型うつ」の部下にどのように対応すればよいのか――上司による成長支援
5 第4章のまとめ
第5章 上司は従来型うつ病の部下にどのように対応しているか
1 上司から見た従来型うつ病の部下の症状
2 従来型うつ病の部下がやってしまいがちなこと
3 上司は従来型うつ病の部下にどのように対応すればよいのか
第6章 上司が感じる「新型うつ」と従来型のうつ病の違い
1 従来型のうつ病の場合
2 「新型うつ」の場合
3 どんな上司が部下の成長支援を行うのか
4 「新型うつ」と従来型のうつ病に共通する上司の負担
5 第6章のまとめ
第?部 「新型うつ」を理解する
第7章 「新型うつ」はどのように症状を発現させるか
1 「新型うつ」になる社員の特徴
2 小さな傷つき体験の蓄積
3 環境による影響
4 「新型うつ」の予防に大切なこと
5 第7章のまとめ
第8章 自分の「新型うつ」傾向をチェックする
1 チェック項目
2 評価過敏
3 他 罰 性
4 打たれ弱さ
第9章 気になる人の「新型うつ」傾向をチェックする
1 チェック項目
2 他責的不安の高さ
3 他者評価への過敏反応
第?部 連携による職場づくりと支援
第10章 「新型うつ」への心理支援の実際
1 心理職にとっての「新型うつ」ケース担当
2 「新型うつ」のクライエントの第一印象
3 効果が見られた介入法
4 心理職が気を付けたいと思うこと
第11章 「新型うつ」の心理支援には何が必要か
1 企業外クリニックに勤務している臨床心理士
2 企業内の相談室に勤務している臨床心理士・産業カウンセラー
3 EAP企業から派遣されている臨床心理士・産業カウンセラー
4 心理職が考える「新型うつ」に必要な心理支援
5 第10章と第11章のまとめ
第12章 職場はどのように「新型うつ」に対処すればよいか
1 企業における「新型うつ」発現と維持のしくみ
2 企業に対する多様な「うつ」についての情報提供
3 上司による部下の成長支援促進
4 企業としての対応
5 「新型うつ」と他罰性
6 「新型うつ」と甘え
7 復職後の仕事復帰モデル
8 連携による予防と対応のために
補 章 研究に用いた方法の紹介
1 質的研究法
2 グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)
3 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M - GTA)
4 第8章の本人用「新型うつ」関連傷つきやすさ尺度作成について
5 第9章の他者用「新型うつ」関連傷つきやすさ尺度作成について
おわりに
謝 辞
引用・参考文献
索 引
下山 晴彦[シモヤマ ハルヒコ]
監修
中野 美奈[ナカノ ミナ]
著・文・その他