内容説明
教師があまり尊敬されないようになってから、かなり時間が経つ。世の中からあまりありがたい存在だと思われなくなった。一方、昨今の教育現場は、いじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊、学力低下…と、混乱を極めている。そうするとマスコミや有名識者たちは、その元凶がすべて教師にあると騒ぎ、世論はその風潮に飲み込まれる。はたして、このように諸悪の根源にされるほど、個々の教師はダメになったのだろうか。親は自分の子どもを守るために、教師は自分の矜持を守るために、世論は真実を確かめるために、社会に蔓延する物言いに隠された危険性を世に問いただす。
目次
第1章 教師への誤解(教師の役割;尊敬はフィクションである ほか)
第2章 混迷する教育現場(現場から見た教師像の変遷;占領下の教育現場 ほか)
第3章 子どもはなぜ変わったか(消費社会的近代で育つ子ども;ありのままに育てることは可能か ほか)
第4章 教育を動かすちから(四つの「ちから」の変化;組合員と非組合員 ほか)
第5章 教師が尊敬されない国に未来はない(危険な子ども中心主義;文化的動物としての人間 ほか)
著者等紹介
諏訪哲二[スワテツジ]
1941年千葉県生まれ。「プロ教師の会」名誉会長。作家。東京教育大学文学部卒業。埼玉県立川越女子高校教諭を2001年3月に定年退職。「プロ教師の会」は、80年代後半に反響を呼んだ『ザ・中学教師』シリーズ(宝島社)をはじめとして、長年にわたり教育分野で問題提起を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
本来、教師とは「権威」の上に立つべきものである。しかし、その権威を崩壊させているのは、教師自身であり、子どもであり、親であり、国家である。もう一度この国が復活するためには、当事者の意識、そしてシステムを改革するしかないことを説く。