内容説明
援助者と当事者が協働して回復を目指すためのテキスト。「子ども時代の傷つき」によって、どのようにして「大人の心の問題」が生じるのか?その治療プロセスは?専門用語を使うことなく、ていねいに解説する。
目次
イントロダクション
自動から手動に変える
感じることをもう一度学ぶ
霧の中にある記憶
不快を理解する
身体の声を聴く
感情の制御を学ぶ
私ではない私―断片化されるアイデンティティ
内面の声―自分自身と対話する
自分と自分の闘いに勝つのは誰なのか?
自分を守るということ
柔軟性と行動力の回復
“弱い自分”を受け入れる
責任を引き受ける
“大人の自分”が車を運転する
たくさん失敗を重ねた人が勝者となる
思い込みに疑問を投げかける―良の中にある悪,悪の中にある良
最も衰えている“筋肉”を使う―バランスの回復
ターニングポイント
現在から過去を眺める
内的“部分”のバージョン2
過去、現在、そして開かれている未来
自分と他者、そして私たち
著者等紹介
ゴンザレス,アナベル[ゴンザレス,アナベル] [Gonzalez,Anabel]
精神科医・心理療法家。集団療法、認知分析療法、家族システム療法、トラウマ志向心理療法を専門とする。医学博士、犯罪学の専門家でもある。ESTD(ヨーロッパトラウマ解離学会)理事。スペインEMDR協会副理事長。コルーニャ大学病院(University Hospital of A Coru〓a:CHUAC)に勤務し、深刻なトラウマをもつ患者の治療のための「トラウマと解離の治療プログラム」を組織している。教育者としては、解離性障害、トラウマ、愛着、感情制御に関するワークショップを精力的に行い、EMDR療法の認定トレーナーとして活躍している。病院内における教育活動にも参画し、精神科研修医に対する心理療法のトレーニングを行っている。また、国立通信教育大学(Universidad Nacional de Educaci´on a Distancia:UNED)の大学院修士課程の非常勤講師として、EMDR療法の講義を担当している。研究においては、トラウマおよびさまざまな疾患に対するEMDR治療の領域で、複数の研究プロジェクトを指揮している。これまでに、解離、トラウマ、EMDR療法についてのたくさんの論文を発表してきた
大河原美以[オオカワラミイ]
東京学芸大学教育心理学講座教授、博士(教育学)。公認心理師・臨床心理士。1982年東北大学文学部哲学科卒業。児童福祉施設の児童指導員として勤務ののち、1993年筑波大学大学院修士課程教育研究科修了。精神科思春期外来、教育センターなどの非常勤相談員を経て、1997年東京学芸大学助教授、2007年4月より現職。専門は子どもの心理療法・家族療法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
本書は,患者さんに語りかけるように書かれており,専門用語を使わずに,難解な複雑性トラウマと解離の世界を解説しています。
心理療法の流派を問わず,共通に知っておくことが必要な視点から書かれています。(中略)
「複雑性トラウマ」は,自我の解離状態に由来するきわめて多彩な症状をもたらします。
感情制御の困難,自傷行為,嗜癖・依存,見捨てられ不安による行動化,異常な摂食行動,夫婦間暴力,家庭内暴力,虐待行為,「よい人」の犯罪などの背景に,「複雑性トラウマ」があることを知ることは,援助の可能性を広げることにつながります。
(「監訳者あとがき」より)