内容説明
母性研究のバイブル待望の復刊!!伝統的母性観が今よりさらに根強かった約30年前、子育てにそれぞれの思いを抱えた母親たちへの丹念な面接調査およびアンケート調査に基づき、母性の発達変容・母親意識の変遷を辿った画期的労作。
目次
第1部 日本における伝統的母性観とその問題点(母性研究の意義と必要性;母性概念をめぐる現状とその問題点;従来の母性研究の概略;研究上の視点および本書の展開)
第2部 母性の発達変容に関する研究報告―伝統的母性観への反証として(母性発達と妊娠に対する心理的な構えとの関連性について;母親意識の世代差について;母親意識の発達変容について;母親の対人関係と子どもへのかかわり方との関連性について;母親の子どもに対する愛着―夫に対する愛着との関連性について)
第3部 父性をめぐる現状とその問題点―包性研究との関連性について(父親研究の意義と必要性;わが国における父権の特質および問題点;父親に関する心理学的研究;父親をめぐる課題および今後の父親像について)
著者等紹介
大日向雅美[オオヒナタマサミ]
1950年神奈川県に生まれる。1973年お茶の水女子大学文教育学部卒業。1975年お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1981年東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。1985年お茶の水女子大学より学術博士の学位を授与される。1989年恵泉女学園大学人文学部助教授。現在、恵泉女学園大学学長。NPO法人あい・ぽーとステーション代表理事。内閣府:社会保障制度改革推進会議委員、子ども・子育て会議委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
伝統的母性観の根強かった時代、子育てに疲弊する母親たちへの丹念な面接調査に基づき女性の意識の変遷を辿った画期的労作の復刊。
刊行に寄せて 藤永保
第1部 日本における伝統的母性観とその問題点
第1章 母性研究の意義と必要性
第2章 母性概念をめぐる現状とその問題点
1. 母性概念の不確かさ
2. わが国における母性信仰の実態とその問題点
§1 子殺し事件の波紋にみる母性信仰とその問題点
§2 保育所入所措置基準にみる母性信仰とその問題点
3. 母性についての究明の遅れ
§1 ホスピタリズム研究の功罪
§2 母親不在の母子研究
4. わが国における母性重視の背景
第3章 従来の母性研究の概略
1. 医学およびその近接領域における母性研究の概略
2. 心理学における母性研究の概略
3. 日本文化論としての母性研究の概略
第4章 研究上の視点および本書の展開
1. 従来の母性研究および母性観にみる問題点
§1 医学およびその近接領域における知見に対して
§2 精神分析の知見に対して
§3 心理学の研究動向に対して
§4 わが国の伝統的な母性観に対して
2. 筆者の研究上の視点および本書の展開
§1 母性概念の位置づけについて
§2 本書における各研究の展開について
§3 各研究における基礎的調査項目の定義について
第2部 母性の発達変容に関する研究報告―伝統的母性観への反証として
第5章 研究?:母性発達と妊娠に対する心理的な構えとの関連性について
1. 研究目的
2. 調査内容および調査方法
§1 調査対象
§2 調査内容
§3 調査時期
3. 結果と考察
§1 調査対象
§2 当初の妊娠に対する受容
§3 当初の妊娠の受容とその後の妊娠過程における心理との関連性
§4 妊娠に対する受容の変化
§5 妊娠中の心理と分娩時および出産後の心理との関連性
§6 結果の要約および母親としての心理発達の規定因
4. 今後の問題
第6章 研究?:母親意識の世代差について
1. 研究目的
2. 調査内容および調査方法
§1 調査対象
§2 調査内容および調査方法
§3 調査時期
3. 結果と考察
§1 調査対象
§2 育児行動および育児環境における世代差
§3 母親としての意識における世代差
§4 面接事例の紹介
4. 要約と結語
第7章 研究?:母親意識の発達変容について
1. 研究目的
2. 調査内容および調杳方法
§1 調査内容
§2 調査対象
§3 調査時期
3. 結果と考察
§1 調査対象
§2 調査項目の因子分析の結果
§3 母親役割の受容に関する結果
§4 子どもに対する感情についての結果
§5 母親役割の受容と子どもに対する感情との関連性
4. 要約と結語
第8章 研究?:母親の対人関係と子どもへのかかわり方との関連性について
1. 研究目的
2. 調査内容および調査方法
§1 調査内容
§2 調査対象
§3 調査時期
3. 結果と考察
§1 調査対象
§2 対人関係の枠組
§3 対人関係の枠組と母親感情との関連性
4. 要約と結語
第9章 研究?:母親の子どもに対する愛着―夫に対する愛着との関連性について
1. 研究目的
2. 調査内容および調査方法
§1 調査内容
§2 調査対象
§3 調査時期
3. 結果と考察
§1 調査対象
§2 愛着尺度による測定の結果
§3 SCTによる愛着の測定
4. 要約と結語
第10章 結び(第?部・第?部)
第3部 父性をめぐる現状とその問題点―母性研究との関連性について
第11章 父親研究の意義と必要性
1. 母子関係重視の動向に対する反省
2. 父親研究に対する今日的要請
3. 第?部の展開について
第12章 わが国における父権の特質および問題点
1. 今日の父権回復論の背景
2. 父権回復論への懐疑
3. 家父長権に関する歴史的検討および問題点の所在について
4. 戦前の農村家族における育児およびその中での父親の役割
第13章 父親に関する心理学的研究
1. 父親研究の動向
2. 父親に関する従来の心理学的研究
§1 父子関係における直接的影響過程について
§2 父子関係における間接的影響過程について
§3 従来の研究知見から示唆される点について
3. 研究:父親に対する子どもの愛着―母親の夫に対する愛着との関連性について
§1 研究目的
§2 研究内容および研究方法
§3 結果と考察
第14章 父親をめぐる課題および今後の父親像について
引用文献
文 献
あとがき
大日向雅美[オオヒナタ マサミ]
恵泉女学園大学学長・人間社会学部人間環境学科教授、 NPO法人あい・ぽーとステーション代表理事、子育てひろば「あい・ぽーと」施設長