心の危機と臨床の知 埋葬と亡霊―トラウマ概念の再吟味
内容説明
「トラウマ」は今の時代を読み解くキーワードの一つになっている。数々の突発的な事件、事故、災害を思えば、人間の生は「トラウマ的事象」に満ちているのではないか。「病」や「無意識」などにかわって「トラウマ」という極限状況を臨床実践の中心テーマに据えることで、精神医学、臨床心理学と哲学、文学の共同をあらためて模索しようとする意欲的な試み。トラウマ研究の最前線。
目次
『モーセと一神教』は二十一世紀の世界に何を伝えているのか?―集団のトラウマという発見
歴史とトラウマと解離
「靖国」をめぐる感情の問題
児童虐待によるトラウマと世代間連鎖
戦争と平和についての観察
心的外傷の行方―病理的組織化と次世代への負債
反復―プラス一
攻撃者への同一化とトラウマの連鎖
甲南大学人間科学研究所第5回公開シンポジウム トラウマ概念の再吟味―埋葬と亡霊
著者等紹介
森茂起[モリシゲユキ]
1955年生。京都大学教育学部大学院博士課程修了。博士(教育学)。甲南大学文学部人間科学科教授
出版社内容情報
かつて埋葬されながらくり返し甦り、われわれの生を決定するトラウマを多層的に把捉する。