内容説明
その治療は、本当に患者のためになっているのだろうか?患者に対して回復という利益をもたらすことのない試みを指す、「医学的無益性」。医療倫理におけるこの重要な概念を、医療が本来目指すべきゴールとは何かという観点から論じる。
目次
これは医師がなすべきことになっているのか?
Noと言うことが難しい理由
Noと言わなければならない理由
「できることをすべてやってほしい!」と言う家族
無益性と資源配分
訴訟にあふれた社会における医学的無益性
医学的無益性の倫理的な含意
現状とあるべき姿―患者の皆さんへ
現状とあるべき姿―医療従事者の方々へ
肝心な点―医学的無益性
医学的無益性―私たちはいまどこにいるのか?
著者等紹介
シュナイダーマン,ローレンス・J.[シュナイダーマン,ローレンスJ.] [Schneiderman,Lawrence J.]
1932年生まれ。カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部名誉教授。ハーバード大学医学部で医学博士(M.D.)を取得。カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部で家庭医学・予防医学の教鞭をとりながら、同医療センター倫理委員会の創設共同委員長を務める。医療倫理の権威として広く認知されており、170以上の医学・科学論文を発表している。小説家、劇作家としても活躍。2018年歿
ジェッカー,ナンシー・S.[ジェッカー,ナンシーS.] [Jecker,Nancy S.]
1960年生まれ。ワシントン大学医学部生命倫理・人文科学科教授。ワシントン大学医学部哲学科、法学部非常勤教授。ワシントン大学とスタンフォード大学で哲学の修士号を取得後、1986年、ワシントン大学で博士号を取得(Ph.D.)。専門は生命倫理学。数多くの生命・医療倫理学に関する実績を有している
林令奈[ハヤシレイナ]
東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野助教
赤林朗[アカバヤシアキラ]
東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
その治療は、本当に患者のためになっているのだろうか? 医療のゴールという観点から、医学的無益性という概念を徹底的に問い直す。
医学的無益性とは、医学的に見て患者に対して回復という利益をもたらすことができない試みのことを指す、医療倫理学の重要な概念である。本書ではよく混同されがちな資源配分の問題との違いを明確に論じ、高度に発展した現代医学のもとにあって医療が本来目指すべきゴールとは何かという観点から、あるべき議論の方向性を示す。