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化学の要点シリーズ 電子スピン共鳴分光法
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目次

第1章 分光法としての磁気共鳴―スピン分光法(分光法の概要;電磁波と分子の相互作用 ほか)
第2章 電子スピンとそのエネルギー(電子スピン;電子スピンを含む相互作用)
第3章 ESRの時間依存性と分子のダイナミクス(熱平衡とスピン緩和;化学反応によるスピンの生成と消滅 ほか)
第4章 電子スピン共鳴の測定法(ESR法の原理;磁場変調ESR ほか)
第5章 応用例(金属錯体の構造と電子状態;固体の励起三重項における状態の混合 ほか)



著者等紹介

大庭裕範[オオバヤスノリ]
1985年東北大学大学院理学研究科博士課程修了。現在、東北大学多元物質科学研究所准教授。理学博士。専門、物理化学

山内清語[ヤマウチセイゴ]
1976年東北大学大学院理学研究科博士課程修了。東北大学多元物質科学研究所教授(2012年逝去)。理学博士。専門、スピン化学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



出版社内容情報

 電子スピン共鳴(ESR)は電子スピンの磁性に基づく分光学である。分子の構造や電子状態,動力学などについて,詳細な情報を与え,化学,物理学,生物学,医学や多様な物質科学的研究に応用できる測定法である。本書は,ESRの特徴と基礎原理を理解し,何にどのように使えるのかを知ることを目的としたESRの入門書である。本書の特徴として以下を挙げる。
 まず,一般には比較的なじみの薄いESRについて,紫外可視吸収などの身近な分光法と比較することによって,その特徴を明確にして,分光法全体の中での位置づけがわかるようしている。
 次に,電子のスピンは古典力学で対応する性質がなく全く量子論的なものであるから,量子論を抜きにしてはESRの説明はできない。特に量子論的な角運動量についての知識はESRスペクトルを理解するうえで必須である。そこで本書では,数式の使用は最小限にとどめつつ,数学的な表現の意味とそれから導かれる物理的な描像の説明に重点を置いて,難解な量子論的性質を定性的に説明している。特に,古典力学やベクトルを用いたモデルなどを多くの図版を用いて示し,頭の中にイメージとして浮かぶような説明を心掛けている。
 また,ESRから得られる情報について,フリーラジカル,遷移金属錯体から励起状態や化学反応中間体まで,多くの系を取り上げ,定量的なデータ,即ち数値で表された情報の意味を理解できるように説明している。ESRの特徴の一つとして測定法の多様さがある。パルス法や時間分解法など最新の測定法を含めた代表的な測定法についても,基本的な知識を得られるようにしている。
 各章末には演習問題を設け,巻末には解答・解説を掲載している。これらを解くことによって,より深く理解でき,また実際の研究で行われる解析過程を経験できるだろう。