内容説明
イタリア・ヴェネツィアの北に位置する、美しい丘陵都市アゾロ。ここはかつてヴェネツィア共和国の大陸領土(テッラフェルマ)と呼ばれた地域にあって、近代化による発展で姿を変貌させることなく、農業を基盤とした地域構造が残り、現代まで中世の古きよき街並みが保たれている。文人ピエトロ・ベンボ、キプロス女王カテリーナ・コルナーロ、詩人ロバート・ブラウニングらに愛された歴史的な都市を対象に、日伊の建築学・歴史学・地理学の専門知を結集させ、新たな領域史の方法にもとづいて、丘陵地帯の裾野で展開する領域形成と再編成の過程をたどる。
目次
序 アゾロへの視点
第1章 テッラフェルマの風景
第2章 ヴェネトの都市と領域
第3章 アゾロの都市形成
第4章 アゾロの建築
第5章 アゾロの領域と風景
著者等紹介
伊藤毅[イトウタケシ]
青山学院大学総合文化政策学部教授。東京大学名誉教授。工学博士。都市史学会会長。1952年生まれ。東京大学工学部建築学科卒業・大学院博士課程単位取得退学。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授を経て、現職。2011年日本建築学会賞、2005年建築史学会賞、1990年日本建築学会奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
北イタリア、ヴェネト地方を代表する美しい丘陵都市アゾロ。
アドリア海に面するヴェネト州は、かつてヴェネツィア共和国の大陸領土(テッラフェルマ)と呼ばれた地域である。同州は広大なヴェネト平原から急峻なアルプス山域にいたる多様な地理条件が特徴で、丘陵都市アゾロは平野と山地の中間地帯にある。平野部の多くの都市が鉄鋼業や製粉業、製材業などによって近代化を遂げ、都市の風景を変貌させたのに対し、アゾロではいまだ農業を基盤とした地域構造が残り、古きよき街並みが保たれている。
この歴史的な都市アゾロを対象に、日伊の建築学・歴史学・地理学の専門知を結集し、丘陵地帯の裾野で展開する都市領域(テリトーリオ)の形成と再編成の過程をたどる。