イルカと否定神学――対話ごときでなぜ回復が起こるのか (シリーズ ケアをひらく) (シリーズケアをひらく)
「ゼロ」からはじめるオープンダイアローグ ――なぜ対話するだけで、これほどの変化が生ずるのだろう。 ――なぜこんな「ふつうのこと」で、回復が起きてしまうのだろう。 ラカン、ベイトソン、バフチン、レイコフ、中井久夫…… 著者の全キャリアを支えてきた思想を総動員して、 この哲学的疑問に真正面から答えた渾身の一冊。 こうして対話という魔法はゆっくりとその全貌を現しはじめた。 この魔法のすばらしさは、謎が解けても効くことである。 【本文より】 私は「ケア」や「回復」の過程において、治療者の意図や操作、 つまり能動性は、しばしば阻害要因になると考えています。 意図や操作の要素を排して、患者の自発性を最大限尊重し、 「偶然」というリソースをめいっぱい活用する。 対話実践は、そのために開発された、もっとも洗練されたアプローチだと確信しています。