アメリカとフランスを拠点に活動するフォトグラファー、ドミニク・ナバコフ(Dominique Nabokov)のインテリア写真の作品集。ナバコフによって20年以上前に始められた住人が不在のリビングルームで撮影を行う「LIVING ROOMS」のプロジェクトは、ニューヨークからパリ、ベルリンへと渡って幕を閉じました。本作は、「LIVING ROOMS」シリーズ三部作の第二弾として、アメリカの出版社「Assouline」によって2002年に初版が刊行。およそ20年ぶりに今回復刻版として「APARTAMENTO」より再版されました。こちらの『PARIS LIVING ROOMS』は、2021年初頭に再販されたシリーズ第1弾『NEW YORK LIVING ROOMS』に続く1冊。作者は本作をインテリア「ポートレイト」と呼び、132ページにわたって、イヴ・サン=ローラン、ナン・ゴールディン、ジェラール・ドパルデュー、カリーヌ・ロワトフェルド、イヴォン・ランベール、アンドレ・プットマンなどの居住空間を通じて、2000年代初頭のパリ社会における親密をも感じさせる探求の成果を見せています。共感できる派手な空間もあれば、必要最低限のものしか置いていない空間もある、パリの様々な著名文化人の室内空間が多数収録。何も変えず、手も加えず、作者は単純に自身の仲間たちの空間を覗き見て記録し、あとどう読み解くかは読み手に任せられています。長らく絶版となっていましたが、今回の復刻版には作者のポラロイド写真とともに、インテリアデザイナーの故アンドレ・プットマン(Andr?e Putman)によるテキストをオリジナルのまま掲載。それらを通して見たパリという都市の歴史の一時代を蘇らせました。『 NEW YORK LIVING ROOMS』、本作の再販に続き、今後は『BERLIN LIVING ROOMS』(2019, APARTAMENTO)の復刊が予定されています。