Building Catholic Churches in Hong Kong Stories of the laity and living fai
香港では19世紀のイギリス植民地化後,多くのカトリック教会堂が建設されるようになった。香港のカトリック教会堂の,180年にわたる目まぐるしい変遷を,政治,社会,宗教的文脈から解き明かす。 イギリス植民地化後,香港では多くのカトリック教会堂が建設されたが,その形態や用途は目まぐるしく変遷した。背景には,植民地ならではの政府と教会の相互依存関係や,中国返還後の香港社会の激変があった。そうしたなかで,教会堂空間の確保には司祭のみならず,信徒たちが重要な役割を果たしてきた。世俗化した近現代における「宗教」,「信仰」,「宗教建築」,また「信徒」とは何かという大きな問いに,香港というひとつの事例の全容を提示し,世界史に位置づける。<br /><br /> なお、本書は福島綾子著『香港カトリック教会堂の建設――信徒による建設活動の意味――』(九州大学出版会、2019年)を著者自身が英訳し、さらに『香港カトリック教会堂の建設』刊行前後に急展開した香港民主化運動、政教関係、教会堂建設状況に関する最新情報について、分析のうえ加筆したものである。<br>