熱力学入門 / 佐々真一/著 兵頭俊夫/編
初めて熱力学を学ぶ学生を対象とした教科書 本書は,初めて熱力学を学ぶ学生を対象とした教科書である。<br> 熱力学は理解するのが難しい,とよくいわれる。理由としては,第一に,論理がわかりにくい,第二に,使われている言葉がかなり違う,第三に,熱力学を応用していく際に必要な道具(微分形式,ルジャンドル変換,様々な熱力学関数など)が膨大にある(ただし,これらに熱力学の本質はない)ことが挙げられよう。<br> そこで本書では,操作や過程という熱力学にとって大事な言葉を前面に出しながら,エントロピーや自由エネルギーという新しい物理量を自然に見い出していく構成をとった。微分形式にもとづく理論の展開はしていない。何が測定されて,何が実験事実で,その結果どういう法則が成り立つのか,という熱力学の成り立ちや全体像を理解できるよう工夫を凝らしている。<br>