私本太平記 五 / 吉川 英治
高氏の打ちあげた烽火(のろし)は、まさに万雷の轟きとなった。石垣の崩れる如く、鎌倉幕府は150年の幕を閉じた。足利高氏の心はすでに決している。彼は、名優さながら、なに食わぬ態(てい)で六波羅軍と合した。いつ、最も効果的に叛旗をひるがえすか? 高氏の打ちあげた烽火(のろし)は、まさに万雷の轟きとなった。石垣の崩れる如く、鎌倉幕府は150年の幕を閉じた。――さて建武の新政。台風一過と思ったのは、ひと握りの公卿たちで、迷走台風は再び引返して荒れ模様、武士たちの不平不満は尽きない。<br><br><br>足利高氏はなに食わぬ態で六波羅軍に合流。問題はいつ、最も効果的に叛旗をひるがえすかにある。高氏の打ちあげた烽火は、まさに万雷の轟きとなった。石垣の崩れるごとく、鎌倉幕府は百五十年の幕を閉じた。<br>吉川 英治
講談社
1990年04月
シホン タイヘイキ 5
ヨシカワ エイジ
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1990年04月
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