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プッチーニ:歌劇《トスカ》全曲 マリア・カラス
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マリア・カラス(トスカ)、ジュゼッペ・ディ・ステーファノ(カヴァラドッシ)、ティト・ゴッビ(スカルピア)、フランコ・カラブレーゼ(アンジェロッティ)、メルキオーレ・ルイーゼ(堂守)、アルヴァーロ・コルドヴァ(牧童)
ヴィクトル・デ・サーバタ指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
1953年8月、ミラノ・スカラ座でのモノラル録音。
オペラのアルバムで最も賛辞を浴び続けてきたという風評にも十分に納得のゆく内容で、歌、指揮、オケともに圧倒的なクオリティの高さを示しています。
 まず何といってもすごいのは25キロダイエットの直前、つまりまだまだ声にパワーのあったカラスのドラマティックな歌唱でしょう。その存在感は例の「マーリオ、マーリオ、マーーリオーー」から強烈。愛の二重唱でもエネルギッシュなステーファノを食うほどの迫力で、第1幕最後のテ・デウム直前の場面では高まる感情表現が感動的。
 ステーファノも全盛期だけあって美声に素晴らしい情熱が込められており、その後のカヴァラドッシの規範になったという説にも思わず納得。しかも「ヴィットーリア、ヴィットーーリア!」では実にパワフルですし、第3幕の「星は光りぬ」では深い悲しみを気品高く歌い上げ、一方でその後の二重唱では希望に満ちた喜びを歌って表現の幅の広さを窺わせます。
 定評あるゴッビのスカルピア歌唱もここでのものはまさに別格。トスカに刺され息を引き取る寸前まで強欲・邪悪であり続けた彼のスカルピアは非常に性格的なもので、押し殺した声から絶叫まで完璧にコントロールしていて深い感銘を与えてくれます。
 指揮のヴィクトル・デ・サーバタはトスカニーニ、セラフィンに続く大物指揮者で、その盛り上げ方の巧みさと情熱的で美しいカンタービレはこの人ならでは。
 第2幕舞台裏で進行するカンタータの場面で流れる音楽まで美しいのはさすがですし、一方で第1幕の長大な愛の二重唱では、絶妙なテンポ・ルバートに加え、各パートのデュナーミクの積極的な操作によって、嫉妬や疑念、官能的なまでの情熱の高まりに至るまで盛り込んで圧倒的な手腕を見せつけてくれます。第1幕の幕切れ近く、テ・デウムの直前の場面、悲しみ憤るトスカとそれに続く音楽(CD1:トラック15:1:52-)も素晴らしい聴きものですし、その他、例を挙げればきりがありません。
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