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【忠臣蔵奇伝2冊組】決算!忠臣蔵(中村義洋)、妖説忠臣蔵(山田風太郎)
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決算!忠臣蔵(中村義洋)
 本作では討ち入りの準備期間のお金の流れを中心に話が進みますが、現代人にもわかりやすいように蕎麦1杯の価格18文を現代の蕎麦代480円に相当させて1両を12万円と設定して計算しています。御家取潰しとなった赤穂藩にはお城明け渡しの時点で30億円の資産がありました。これから藩札の換金や家臣の退職金、御家再興の運動費を差し引いたら、内蔵助の手元に残った討ち入りまでの軍資金は約700両(約8400万円)でした。当時の交通はほぼ歩きですので、東海道の往復で一人70―80万円かかります。江戸の家賃も10万円弱/月です。討ち入りまでの1年半余りの浪人たちの生活費、通信費、武器だって必要だし... 内蔵助とそろばん方は減りゆくばかりの予算をいかにやりくりしたかがユーモラスに描かれています。
 お金のやりくりをするので自然会話が多くなるのですが、大石以下大半の赤穂浪人は赤穂弁を使っています。大阪弁に近いこの方言が、他の「忠臣蔵」似ないいい味を出しています。


妖説忠臣蔵(山田風太郎)
 松の廊下での吉良上野介と浅野内匠頭の刀傷事件に始まり、赤穂浪士の討ち入りに至る、ご存知「忠臣蔵」。山田風太郎の手にかかれば、妖しげに虚実の華が咲き乱れる。
「赤穂飛脚」
 御家の一大事を知らせに早駕籠に飛び乗る浅野家の家臣の周りには、大盗人の女頭、お銀という美しい女の影がぴたりと寄り添う。
「殺人蔵」
 裏切り者が混じっておれば討ち入りは成就せぬ。穏やかに微笑む大石内蔵助の内に潜む、刃物のように鋭い目。
「蟲臣蔵」
 前代未聞の大芝居のような討ち入りの陰で、挫折した浪士達の挫折を描きます。
「俺も四十七士」 四十七士という英雄達。日の当たる堀部安兵衛、大石主税などもあれば、その他多勢の者もあった。同じ死ぬならヒーローになりたいと思うのが人情ですが。
「生きている上野介」
 赤穂浪士が討った憎き吉良上野介は、実は替玉だった!
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