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鉄と銅の生産の歴史 古代から近世初頭にいたる
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「鉄と銅の生産の歴史 古代から近世初頭にいたる」
佐々木稔著 / 赤沼英男〔ほか著〕
出版社:雄山閣

定価: ¥ 3800(税別)
※経年による背表紙のヤケはありますが、本体はとてもきれいな美品です。
※200、201ページに薄い黄色いのマーカーを引いた跡があります。

考古学と自然科学の両分野に接点を有するテーマを時代ごとに取り上げ、両分野の研究者が討議を重ね、古代より近世初頭に到る鉄と銅の生産の歴史を分担執筆したもの。

◆目次
1 古代アジアの鉄と銅(東西アジアにおける初期銅生産の性格;西アジアで興った鉄生産と東方への拡大)
2 鉄器と原料鉄の生産技術の進歩(弥生時代における鉄器製作と鋼製造の開始;古墳時代前・中期の鍛造技術の革新 ほか)
3 銅の生産とその展開(古代における銅生産の発達;中世における銅生産の展開 ほか)
4 銅と鉄の鋳造(銅鋳物の鋳造遺跡と鋳造技術;鉄鋳物の鋳造遺跡と鋳造鋳物)
5 付編 製鉄・鍛冶遺構の変遷

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 本書は考古学系3名、自然科学(金属)系2名の共著作である。何よりの魅力は、金属学的分析調査に基づき、製品を含めた金属生産の技術・技法を解明し、その背景となる社会を考察するところにある。考古資料の分析は、対象資料を確保することも困難な作業で、たとえ分析できたとしても錆や埋蔵環境での汚染も多く、得た分析結果の評価に頭を悩ますことが多い。本書は表題通り、鉄と銅に関する分析データが豊富で、数カ所の遺跡の調査結果だけでは決して得ることのできない著者らの長年の研究があってこその一冊といえる。分析結果から弥生時代の日本の輸入品には、製品鉄器と原料鉄の両方があったこと、不純物量からの始発原料鉱石の推定、銘文鉄剣に刻銘された「練」の文字から技法の推定、大鎧の分布と回船鑄物師の関係、当時の工業製品としての日本刀の考察、家康の大砲は当時の世界の最先端技術であったことなど、どの章も他分野の方も視野に入れた丁寧な記述が理解を助けてくれて興味深く読みすすむことができる。
 精錬という言葉ひとつとっても分野による定義が異なるなど、学際領域の共同研究には多くの困難が伴うが、今後もこのような研究の進展が、世間を騒がせた「考古学捏造事件」などを生まない礎になると考える。『金属』6月号 新刊紹介より
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